② 男性更年期は治せる!
Dr.大友
渋谷セントラルクリニックエグゼクティブディレクター
男性更年期、LOH症候群においては男性ホルモンを補充するということになるわけですが、先ほどのお話だと8.5以下は足した方がいいよ。8.5から11.8ぐらいは状況を見て足すよ。11.8以上は別の治療。
11.8だった場合はどのようなアドバイスをするのですか。勃起障害(ED)でとかね。
Dr.小池
JR東京総合病院泌尿器科部長
微妙なところですけどね。
患者さんと相談で一回試してみて経過を見ます。それをしないでEDならバイアグラ PDE5阻害薬をつかったり。
あとは鬱状態とか自分の問題であれば精神科の先生にご相談して頂くという対応が良いかと思います。
Dr.大友
今だとPDE5阻害薬が男性ホルモンを増やすのではないかと言われていますよね。
勃起薬だけ出されているとか前立腺肥大のお薬を使われる可能性もあるということですよね。
Dr.小池
ありますね。
Dr.大友
それで様子を見て良くなるかもしれないというオプションも間違ってはいない。
Dr.小池
間違っていないと思います。
Dr.大友
ビタミンDとか亜鉛が低いと男性ホルモンが下がると言われていますよね。
そういうのは併用してもいいんですか。
Dr.小池
そうですね、いいと思います。
Dr.大友
併用した方がいい?
Dr.小池
食事で補うというのも一つの方法ですね。
Dr.大友
男性ホルモンはなくても男性ホルモンの受容体の効きをサポートしてあげないと良くならないことがあるのかなと思ったりします。
男性ホルモンはどうやって補充しますか。
Dr.小池
大きく二つに分かれます。
一つは注射。あとは塗り薬です。
Dr.大友
飲み薬だと肝臓に良くないからですか。
Dr.小池
そうですね。
Dr.大友
注射は痛いですね。僕は注射が大嫌いです。患者さんに打つのもためらうぐらいです。しかもドロッとしている。
Dr.小池
はい、粘稠度が高いので力を入れないといけないので痛みはあります。
Dr.大友
どこに打ちますか。
Dr.小池
大体腕です。お尻にさす場合もあります。
Dr.大友
塗り薬は保険薬ではなくて。
Dr.小池
そこが少し問題でコストが少し高いです。
Dr.大友
実際男性ホルモンを足してこんなに良くなっちゃった人いますか。
Dr.小池
いますいます!
Dr.大友
そういう方のお話をお伺いしたいですね。
Dr.小池
我々のところに来る人は例えば精巣腫瘍、両方の睾丸をとってしまった人は定期的に注射打ったりしますし。
Dr.大友
がんの術後で精巣を取ってしまうと男性ホルモンが作れない。
Dr.小池
定期的に足している人もいますけれどもそういう方に聞くと切れた瞬間が分かるくらいガクッと落ち込んだりすることがあるようです。
Dr.大友
よく注射のアップダウンありますよね。
Dr.小池
ありますね。一般的に3週間おきに打ちます。
3週間では足りない人はもっと早くしてほしいとか、もう少し間隔を空けても良い人も中にはいますので、相談しながらさせていただければと思います。
Dr.大友
うつっぽいなと思われていたのに実は男性ホルモンが低かったみたいな、そういうケースはどうですか。
Dr.小池
そういう方も多いですね。
Dr.大友
痛みの患者さんだと眠れないとか合併症だし気が滅入ってたり不安。
さんざん抗うつ薬やブロック注射できて良くならない方が男性ホルモンを足すと劇的に良くなることがあります。
Dr.小池
なるほど。
Dr.大友
最後のピースが欠けていたみたいな。
メタボが男性ホルモンを足したからといって良くならないだけど、男性ホルモンが低いと運動する気にもならない。
男性ホルモンを出したことによってジムに行く気にもなる。すべてがうまく回り始める男性ホルモンに関してはそういう印象があります。
Dr.小池
そうですか。
Dr.大友
使い方が日本ではそこまでポピュラーじゃない。
Dr.小池
はい
Dr.大友
これから少しずつ知られていくと思いますけれども、男性ホルモンの治療自体歴史が長く論文も多いので安全にしていけばいいと思うんですが、どういう風に確かめていけば良いものなのでしょうか。
Dr.小池
なんでもいいというわけではなく注意しなければいけない人がいます。
男性ホルモンは体を作るものなので血が濃くなる。
そうなると脳梗塞になったりする人も中にはいますし、睡眠時無呼吸症候群が非常に悪化すると言われています。
そういう方には禁忌と言われています。
Dr.大友
寝ている時に呼吸が止まってしまう方ですね。それは禁忌ですね。
Dr.小池
はい。
Dr.大友
後は前立腺がんの人は気をつける。それは PSAを見ていれば分かる。
Dr.小池
はい。
あとは肝機能障害、腎機能障害、心臓にも負担がかかる可能性がありますのでそういった方は気を付けなければいけません。
Dr.大友
安全性に関しては前立腺の事を調べたPSAと男性ホルモンの値を測っていればどうにかなる。
Dr.小池
そうですね。
Dr.大友
使い過ぎたらドーピングになっちゃうんですよね。
Dr.小池
はい。スポーツ選手は難しいかもしれません。
Dr.大友
要するにあげるレンジも基本的には自分の年齢に収まる範囲にしておけばそんなに酷いことは起きない。むしろ良いことが起こる。
Dr.小池
はい。
Dr.大友
男性ホルモンが低い症状を改善すると不定愁訴、泌尿器科的な勃起、 精神的な気が滅入るとか不安、痛みの診療科である筋肉、関節の痛み、内科的にメタボ。
Dr.小池
そうですね。
Dr.大友
よくなるきっかけとなる治療になるという理解でよろしいでしょうか。
Dr.小池
はい。最近になって叫ばれていることなので、認識してこういう疾患があると頭に入れておく必要があります。
Dr.大友
男性更年期とは50代以上の人が3割、70代以上の人は7割の方がなるかもしれない病気。それは男性ホルモンが低下したことによる症状ということですね。
大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター
日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)
免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。
またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。
日本泌尿器科学会専門医指導医、泌尿器腹腔鏡技術認定医、日本排尿機能学会認定医、がん治療認定医、日本臨床腎移植学会腎移植認定医
趣味は90年代洋楽ロック鑑賞となかなか上手くならないゴルフ