

[ドクターの食卓から] タイと日本の味噌炒めの違いについてまとめてみた
日本の味噌とタイの味噌
ピエールには小学生の頃から通っている六本木のタイ料理屋さんがある。今は現地に行けていないこともあってこちらに通い詰めている。
もう30年近く通っているのに、今回はじめて目に入ったのがパッ・マックア・ヤーウという長ナスとバジルの唐辛子炒め。
タイではレストランから屋台まで、幅広い場所で見られる定番料理で、長さ30cmほどの緑色の茄子をニンニクや唐辛子と共に炒めたもの。
このお料理の味付けのポイントは「タオチオ」と呼ばれるタイのお味噌。
お味噌といっても日本のもののようにペースト状ではなく、粒のままの大豆が漬け汁に浸かった状態で売られているのが大きな違い。
もう一つの違いはその作り方。
日本のお味噌作りには麹が欠かせませんが、タオチオは塩水と小麦粉のみで発酵させています。
大豆に肉と似た良質のタンパク質がふんだんなことから、タオチオは肉を使っていない料理で使用されることが多く、特に空心菜炒めなどには必須の調味料。
豆の姿そのままで加えるので、食感や豆の風味もしっかり楽しめるし、食物繊維も豊富!
発酵熟成させると変化が起こる!
日本とタイでお味噌の作り方は異なりますが、どちらも同じく新陳代謝を高めて身体を温めてくれる調味料として知られています。
古来より「味噌は医者いらず」という言葉が生まれるほど健康効果の高い調味料として利用されてきましたが、東洋医学的には原料となる大豆は体を冷やす「陰性」の食材。それを発酵・熟成させることで消化のいい酵素やたんぱく質が生まれ、体を温める「陽性」の食材に変わるというのがピエール的には興味深い。
免疫栄養学的な観点から考えると大豆は良質なたんぱく質や脂質、糖分、ビタミン、ミネラルなどを含む栄養価の高い食品ですが、消化吸収されにくいのがウィークポイント。
こうして味噌に加工すると、大豆の豊富な栄養素が酵素によって分解されて、体内に消化・吸収されやすくなることを昔の人は本能的にわかっていたのかな⁈
体温が1度上がるとエネルギー代謝は10%以上、免疫細胞である白血球の働きは30%以上も上がり、免疫細胞の6~7割が集まっている腸の働きも上昇します。
寒さを感じることが多くなってきた昨今、免疫力を高めたいと考えておられる方はタイと日本の味噌を食べ比べて身体を温めてあげてくださいね。
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〔シェフドクター ピエールの正体〕
医師・料理研究家
・日本のみならずロサンゼルス、フランス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた新しい統合医療を提案している。
・料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフや美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
ボルドーワイン騎士団コマンドリー
ブルゴーニュワイン騎士団シュバリエ
シャンパーニュ騎士団シュバリエ
またパリ発祥で国内No1ワインスクールのアカデミー・デュ・ヴァンで’ワインと究極のアンチエイジング’の講座も担当している。