口内炎ができてしまったら「はちみつ(蜂蜜)」 はちみつ
はちみつは、ミツバチが花の蜜を採集し、巣の中で加工・貯蔵している、自然界で最も甘い蜜のことです。
本当はミツバチの食糧ですが、人類は1万年以上前からこのはちみつを食用や薬用などに利用してきました。はじめは熊や他の動物のように野生のミツバチからはちみつを採集していましたが、エジプトなおではおよそ5000年以上前からミツバチを飼育してはちみつを得る養蜂をはじめていたようです。日本で本格的に養蜂が始まったのは、江戸時代のころからです。はちみつ自体は、奈良時代に中国から伝わり、当時の日本でも養蜂を試みましたがうまくいかず、はちみつは、海外からの貴重な輸入品として貴族ら上流階級の間で薬用として用いられてきました。
現在、はちみつは食用として用いられるほか、化粧品などに使われたり、民間療法では薬として使用されています。また、ミツバチの巣から採れる蜜蝋はろうそくやハンドクリームの材料、リップクリーム、木材や革のワックス、せっけんなどに利用されています。
はちみつは、ミツバチが集める花の種類ごとに旬がありますが、レンゲやアカシアのはちみつは、花が咲く季節の4~5月が旬と言えます。
栄養素
はちみつは、糖質が主な栄養素ですが、ほかにも良質なビタミン類やミネラル、アミノ酸や酵素などが豊富に含まれており、非常に栄養価の高い健康食品です。
はちみつの糖質は、ブドウ糖と果糖がほとんどです。
ミツバチがどの花の蜜を採集したかによって、その風味や成分は少しずつ異なります。
はちみつは濃厚で甘いため高カロリーなイメージを抱いている人も少なくありませんが、実際には砂糖などより低カロリー。同量の100gで比べると、ショ糖(上白糖)が384kcalなのに対して、はちみつは294kcalです。ダイエット中に甘いものを摂りたいときは、砂糖の代わりにはちみつを利用するのもよいでしょう。
はちみつの主な栄養成分(100gあたり)
・エネルギー 294kcal
・炭水化物 79.7g
・水分 20g
・たんぱく質 0.2g
効能・効果
はちみつは、体内に入ってすぐにエネルギーとなる糖質が主成分です。ブドウ糖と果糖がほとんどで、どちらも構造が単純な単糖類のため、体内に入ると短時間で腸壁から吸収されて血管に入り込み栄養分になってくれます。そのため体が弱っているときや疲れているときにも効率よく栄養を吸収でき、疲労回復に効果が期待できます。また、はちみつには整腸作用があります。ブドウ糖から作られるグルコン酸が大腸に届くと、腸内のビフィズス菌を増殖させ、ビフィズス菌のエサになるオリゴ糖が善玉菌を増やして腸内環境を整えます。はちみつにはミネラルも豊富で、とくにカリウムが多く含有されています。カリウムは高血圧の予防に効果的であるといわれています。民間療法では、はちみつを咳止めに使うことが多いようです。
はちみつが持つ強い殺菌力が呼吸器系細菌の増殖を抑え、痰の切れもよくしてくれることが古くから知られていて、世界中で利用されています。またはちみつをリップの代わりに使うことで、乾燥しやすい唇の保湿ができますし、口内炎にはちみつを塗ると、殺菌作用が働いて症状の緩和に役立ちます。ただし、ごくわずかですが乳児ボツリヌス中毒の危険があるため、1歳未満の乳児には与えてないよう、注意が必要です。
東洋医学的側面
・寒熱:平(体を温めも冷やしもしない)
・昇降・収散・潤燥:潤(体を潤す性質)
・臓腑:肺、脾、大腸
・五味:甘(補い滋養する作用)
・毒性:なし
保湿
解毒
高血圧の改善
便秘解消
栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法
はちみつは、基本的には腐らない食品なので、常温保存がよいとされています。
冷蔵庫に入れると白く結晶化してしまうので、冷蔵保存はしないほうがよいでしょう。
瓶などに入れて、湿気が少なく、直射日光の当たらない涼しい場所で保存しましょう。
はちみつの賞味期限は2~3年程度です。
あまり長く保存していると風味が損なわれてしまったり、結晶化してジャリジャリした食感になってしまいます。
一般的にはちみつの結晶化は14℃以下で起こります。
ミカンやレンゲのはちみつは、ブドウ糖の割合が多いので結晶化しやすく、アカシアやトチなどは果糖が多いので結晶化しにくいといわれます。
白く固まって結晶化してしまったはちみつは、湯せんをすることで元に戻ります。
容器ごと50度程度のお湯につけ、かきまぜてやると結晶が溶けていきます。
はちみつに含まれているビタミンやミネラルなどの栄養素を効率的に摂りたいなら、できるだけ新鮮なうちに摂取するのが良いでしょう。
腸内環境を整える効果があるはちみつを、便秘解消に利用するときは、食物繊維の豊富な果物やヨーグルトなどの発酵食品と組み合わせ、甘いフルーツサラダにして食べるとより効果的です。