加工食品の安全性やトレンドを深堀り かこうしょくひん
加工食品とは
食品は大きく分けると生鮮食品と加工食品に分けられます。加工食品とは、食品の美味しさや栄養、品質や保存性などを高める目的で生鮮食品に何らかの加工処理が施された食品です。
日本では、味噌や醤油、豆腐、蕎麦などといった伝統的な加工食品をはじめ、マーガリン、マヨネーズ、インスタント食品、冷凍商品、機能性食品など消費者ニーズや加工技術の進歩に伴い、さまざまな加工食品が普及しています。
加工食品の種類
加工食品の種類は多岐に渡り、農・畜産加工品、水産加工品、乳加工品、缶詰食品、嗜好品、調味料、冷凍食品、レトルト食品、菓子類など多種多様な加工食品が製造、販売されています。これらの加工食品は加工の段階ごとに、次のように分類されます。
一次加工食品
農・畜産物などの原料を大きく変えず、その食品の性質を活かし、物理的あるいは微生物的な加工を施した食品。(精米、精麦、缶・瓶詰果汁、醤油、つけものなど)
二次加工食品
一次加工品を1~2種類以上組み合わせ、本来とは異なる食品に加工したもの。(製パン、製麺、製糖、マーガリン、マヨネーズなど)
三次加工食品
一次、二次加工品を2種類以上組み合わせて、異なる形態や機能に加工したもの。数次加工食品ともいう。(弁当や惣菜など調理加工食品、冷凍食品、菓子、嗜好飲料など)
加工する食品そのものは同じでも、加工の仕方や組み合わせ、加工の段階などによりさまざまな加工食品が作られています。
加工食品のトレンドは「簡」「健」「良」
近年では、コンビニ弁当や惣菜など持ち帰り食品や熱を加えるだけのレトルト食品、インスタント食品など孤食化や小家族化、ライフスタイルの変化などを反映し、調理の手間をかけずに簡単に食べられる加工食品の需要が伸びています。
また、生活者の健康志向やダイエット志向を受け、低カロリーや特定の栄養素(カルシウムや鉄、食物繊維など)の強化などを強調した高機能な加工食品、添加物や着色料などを含まないヘルシーな加工食品など味や利便性以外の付加価値を訴求する加工食品の開発も進んでいます。
これまで食の欧米化などにより、高カロリー低栄養とある意味では批判的に受け止められることも多かった加工食品も、現代の生活者の多様なニーズを満たすことによって、品質の高さや栄養バランスに配慮した現代的な加工食品に変わりつつあるといえます。
加工食品の表示について
加工食品は加工段階が高次になるほど、原材料が何であるか分からなくなるため、食品の名称だけでなく、原材料名、食品添加物、消費期限、賞味期限、ロット番号、製造者の名称などを明記することが原則になっています。
「消費期限」とは食肉や弁当、惣菜など品質の変化が急速で、期限内に速やかに消費すべき食品に表示されます。また「賞味期限」については、食肉加工品や乳製品など品質が保たれる期間が3か月以内の場合は「年・月・日」を記載し、3か月以上場合は「年・月」を記載することになっています。
また、砂糖や塩、うま味調味料など品質が保たれる期間が数年以上と考えられる加工食品の場合はいずれの表示義務はありません。(表示しても構わない)
最近では、穀物や肉類、魚類などの一次加工品においても、原産地や生産者名などを表示するトレーサビリティの意識が拡大しており、安全・安心をブランド化する加工食品業者も増加しています。
加工食品は時代の変化やニーズに合わせて、バリエーションや技術の進歩だけでなく、品質の向上や安心・安全の確保などさらに高次元の価値を踏まえた食品へと進化し続けていると言って良いでしょう。
加工食品の安全性
加工食品を取り巻く環境は、品質や安全性の向上を目指す一方で、輸入原材料の拡大や世界規模での多様な製品の出現などにより、日本においても病原性大腸菌(O-157)による食中毒による事故や高病原性鳥インフルエンザの世界規模での感染などの危機を孕んだ状況にあるともいえます。
これは各国における食品製造や原材料に関する安全性の基準や製造工程、包装工程、輸送工程などに格差があることが要因と考えられます。
そこで、国際的な食品製造や衛生管理などを標準化した「HACCP」(ハサップ)や「ISO22000」などを導入することにより、食の安全性を確保、推進する制度が世界的に普及しつつあります。
加工品製造者や販売者がこうした基準を順守することで「農場から食卓まで」一元的に安全性を確保し、生活者へ安全・安心な加工食品を提供できるよう、世界規模での連携が進められています。