物忘れが激しいヒトには「鶏油」 ちーゆ
鶏油(チー油,チキンオイル)とは鶏肉を加工するときに出る脂を集め、加熱・精製して作られる食用油脂です。中華料理やラーメンのスープなどに利用されます。旨みが強く少量でもコクが増し、どんな料理にも合いやすい万能調味料ともいわれます。ラーメン店などで“脂マシ”といえば、鶏油が足されることが多いようです。
栄養素
鶏油は99.8%が脂質で構成され、そのうち、およそ30%が飽和脂肪酸です。オレイン酸やリノール酸など不飽和脂肪酸も含むほか、ビタミンD,ビタミンE,コリン,セレンなどの成分を含有しています。他の動物性脂肪に比べ、コレステロールが少なめです。
抗酸化作用が高いビタミンE、過酸化脂質を分解するセレンなど、健康に役立つ成分も含まれています。
鶏油の主な栄養成分(100gあたり 大さじ8~9杯 )
総カロリーと三大栄養素
・エネルギー……900kcal
・タンパク質……0g
・炭水化物……0g
・脂質……99.8g
ビタミン
・ビタミンD……4.7㎍
・ビタミンE……2.7㎎
・コリン……122.4㎎
ミネラル
・セレン……0.2㎍
脂肪酸
・飽和脂肪酸……29.8g
・一価不飽和脂肪酸……44.7g
・多価不飽和脂肪酸……20.9g
・ミスチリン酸……9000㎎
・パルミチン酸……21600㎎
・ステアリン酸……6000㎎
・パルミトレイン酸…5700㎎
・オレイン酸……37300㎎
・リノール酸……19500㎎
・α-リノレン酸……1000㎎
その他
・コレステロール……85㎎
効能・効果
抗酸化作用、動脈硬化の予防
鶏油には、強い抗酸化作用があるビタミンEや、体に有害となる活性酸素を抑制するセレンが含まれています。細胞や組織の酸化を防ぎ、動脈硬化を予防し心筋梗塞や脳梗塞のリスクを低下させる働きがあります。
ただし、鶏油はカロリーが高い上、中性脂肪やLDL(悪玉)コレステロールを増やす飽和脂肪酸が多く含まれているため、摂り過ぎには注意が必要です。また、セレンは過剰に摂取すると吐き気や脱毛、貧血などの症状を引き起こす恐れがあります。
脂肪肝の予防
鶏油に含まれるコリンはビタミン様作用がある成分です。体内で血圧を下げるアセチルコリンの材料となるほか、血管にコレステロールが沈着するのを防いだり、肝臓に脂肪が溜まる“脂肪肝”を予防する作用があります。
また、体内でコリンが不足すると肝機能が低下したり、肝硬変のリスクが高まります。
アルツハイマー型認知症の予防
コリンには脳の記憶形成を助ける働きがあり、アルツハイマー型認知症の予防に効果があると期待されています。物忘れや学習能力の衰えなどを感じる人は、コリン不足が原因かもしれません。
東洋医学的側面
・寒熱:平(体を温めも冷やしもしない)
・昇降・収散・潤燥:収(気を体の内に収める作用)、潤(体を潤す性質)
・臓腑:肝、脾、胃
・五味:甘(補い滋養する作用)
・毒性:無毒
気を補い、肝機能を改善する働きがあります
疲労回復や体力の増強に効果があります
食欲不振や胃の不快感を改善します
栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法
鶏油は、市販の製品を利用できますが、食べ物として摂る場合は、鶏皮や鶏レバー、ぼんじりなど鶏の脂身に多く含まれています。唐揚げやフライドチキンよりも、焼き鳥として食べた方が、鶏油の栄養としてはより多く摂取できます。
市販されている鶏油は、製造後6カ月を目安に賞味期限が設けられています。開封後は密閉し冷蔵後で保存しましょう。酸化防止剤などが加えられていますが、開封後はできるだけ早く使い切りましょう。
鶏油は自分で作ることもできます。スーパーや精肉店で販売されている鳥皮を大まかに切り、ネギや生姜、にんにくなどを加えフライパンで熱します。鶏皮から油が出てきたら取り出し、油濾し器などで濾せば自作の鶏油が簡単に作れます。カリカリになった鳥皮はキッチンペーパーで油をとれば“鳥皮せんべい”になり、おつまみとしても美味しく食べられます。ポン酢をつけて食べるのもおススメです。
器に刻んだネギ、生姜、にんにくと塩を少々いれ、熱い鶏油をジャッとかけると、鶏油だれができます。いつもとは少し違ったタレやドレッシングとして楽しむのも良いですね。