ヘルシンキで見つけたしあわせの形

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食事の質と体格:北欧の遺伝子設計思想

フィンランドに来て何よりも驚くのは、この食事でどうしてあの体格が出来上がるのだろうか、ということです。

本日食べたニシンバーガーを例に挙げます。
と酸で締めた魚、ゆで、ライ麦パン。油は少なく、糖もほとんど含まれていません。それでも、現地の人々の体は大きく、筋肉も骨も密度があります。

これは食文化というよりも、遺伝子の設計思想の違いがあるためであると考えられます。寒冷な環境に適応してきた北欧の人々の身体は、「食べたものをすぐに燃やす」のではなく、エネルギーを逃がさず、内部に保持する方向に最適化されています。

北欧人のゲノムには、FTO、LEPR、UCP1といった「脂肪を蓄え、燃焼を抑える」多型が多く見られます。同時に、筋肉量や骨密度を維持するホルモンシステム(DHEA・IGF-1経路)が高い傾向にあります。

つまり、長い歴史を経て、身体そのものが「防寒具」になっていると推測されます。

精神的な「エネルギー効率」と高い幸福度

ちなみに、フィンランドの人たちは、精神的なところまで「エネルギー効率が良い」とお見受けしました。

街は音が少なく、人々もエネルギーを節約するように穏やかで、焦らず、声を荒げず、必要な言葉だけを選んでいます。しかし、どこか全てが満ち足りているように見えるから不思議です。

幸福度ランキングが高いヘルシンキ。短い滞在ではありましたが、ピエールもしっかりと堪能させていただきました。

 

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ  

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