

食物繊維を摂ると痩せやすくなる理由は?
見た目も栄養も満点!カオヤムの魅力とルーツ
「カオヤム」はタイ南部独特の料理で、昔はバンコクですら殆ど見かけませんでしたが、ここ数年は「映え」効果もあってか、日本においても食べられるお店が出てきたほど人気のタイ料理となっているようです。
直訳すると「和えご飯」だけれど、実際のご飯の量は全体のほんの1/10ぐらい。
あとは生野菜、レモングラスこぶみかんの葉などのハーブ、グレープフルーツや青マンゴーなどの果物、風味付のココナッツや干し海老の粉などがお皿にぎっしり!
低カロリーなだけでなくビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で排泄システムを正常に機能させること、インスリンの効きを高めてくれることにより脂肪をエネルギーとして使いやすくなることから体重コントロールには最適の料理と言われてきました。
ちなみにタイでハーブ研究家の重鎮から伺ったお話によると…
その昔宮殿の多くの人々が飽食で腹痛や腸の不調を訴えるようになったことがあり、解決策を考えるようにと指示された王室専属の医者が考え出したのものが、カオヤムの始まりだったとか。
現代では具材もさまざまにアレンジされたりしていますが、今も残るタイの南部ならではの伝統的な具材が、「トーチジンジャー」と呼ばれる濃いピンク色のお花の薄切り。
真っ赤な炎のように立ち上がる姿が聖火のたいまつ(トーチ)に例えられたことから名付けられたショウガ科の食物で、飾りや供花に使われるほか、蕾や若い花は香味野菜に、果実は生食に、種子は香辛料にと様々なお料理に使われています。
どこかミョウガに似た爽やかな風味が魅力的で、Dr.ピエール的にはこれがカオヤムの影の主役ではないかと密かに思っているほど。
トーチジンジャーと菊花、“食べる花”の薬膳力
それにしても供花を食べてしまおうと最初に考えた人ってなかなか勇気があるなと思いますが、実はタイ医学ではこのお花の薬効は非常に高いと言われており、豊富なビタミンCとフラボノイドの抗酸化力で皮膚の老化を防止、さらに皮膚炎、じんましん、敏感肌の改善には効果的とされています。
日本で食用にされるのは菊花があります。観賞用の菊と同じ仲間の菊で食用にされるのは苦味が少ない花びらの部分。
菊花には、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸や磯クロロゲン酸が多く含まれています。どちらも抗酸化作用があるので、老化や性尾圧習慣病を防止する働きがあります。また、菊花には生体内の有毒物資を解毒する働きのあるグルタチオンが豊富に含まれています。さらに、ビタミンB2や抗酸化作用のあるビタミンC、ビタミンEをはじめとするビタミン類が豊富に含まれています。
残念ながらトーチジンジャーは日本では自生しないので植物園の温室などでしか見られませんが、タイだけでなくマレーシアなどでも頻繁に食べられているそうなので、また東南アジアに旅行ができるようになった際はぜひ探して食べてみようと思います。
ただし、日本の温室のものは食用とは限りませんのでご注意なさってください。
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ