

酒粕に含まれる「レジスタントプロテイン」の驚きの働き
脂質を排出してコレステロール対策に効果的
粕汁に使われる酒粕は、日本酒の仕込み後の醪(もろみ)を搾って残ったもの。
昔から健康増進に効果があるといわれており、昨今はその栄養価やアンチエイジング効果が再注目されていますが、ダイエットという観点から見ても実はかなり優れた食材なのです。
ポイントのひとつは、たんぱく質。
酒粕に含まれているたんぱく質はちょっと特殊で「レジスタントプロテイン」と呼ばれる難消化性のもの。胃腸で消化されにくく、食物繊維に近い働きをしてくれるのですが、すごいのは食べたものから体に入った油や脂質を吸着して体外に排出してくれるという点です。
これは食物繊維ではほとんどできない働きです。食べ物の油を排出することで、脂質成分であるコレステロールなども排出され、血中や肝臓のコレステロール蓄積も防ぎます。
腸内環境を整え、代謝を上げるもうひとつの力
実はこのレジスタントプロテインは白米にも含まれていますが、白米のままだと他の成分に囲まれていてそれほど高い効果を発揮できません。
しかし、酒粕はお米を一度麹菌が分解しているので、周りをかこっていた栄養素も分解されて体に吸収されやすくなり、その働きも強くなるというわけです。
またもう一つ、難消化性デンプン「レジスタントスターチ」というものも酒粕には多く含まれています。
こちらは善玉菌のビフィズス菌を増殖させて腸内環境を整えるほか、小腸で消化されずに大腸に届くため消化が緩やかになり、血糖値の上昇も抑えてくれます。
さらに酒粕は植物性であるにもかかわらず動物性たんぱく質並みのアミノ酸を含んでいます。
すでにアミノ酸に分解された状態で含まれているため、肉や卵を消化しにくい人も無理なく体内に吸収できるのがポイントです。
特に必須アミノ酸が豊富で、これらが体内に吸収されて筋肉が強化されることで基礎代謝のアップにもつながります。
代謝促進や内臓脂肪を燃焼するビタミンB群も豊富な酒粕。ここまでの効能が日本酒の副産物に含まれているとは驚きです。
最近では粕汁だけでなく、酒粕クッキーなども見かけるようになりました。
ダイエット中のおやつとして選んでみると良いかもしれません。
寿司いずみ
東京都目黒区下目黒6丁目6−9
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ