旅先での気づきと銀座の美味

「ポツンと一軒家」という番組に登場しそうな、携帯の電波もほとんど届かない人里離れた山奥で始まるデトックスリゾートへ仕事で出かけてきました。

帰京後、打ち合わせのために訪れた有楽町からの帰り道、銀座の街を歩くと、夜の8時にもかかわらず本当に人がいませんでした。近くのミシュラン星付きのお寿司屋さんが経営するイタリアン「オステリア・ダ・カッパ」にご挨拶に伺うと、ここもいつもの喧騒が嘘のような静かな状況です。

お寿司屋さんと同じ仕入れの絶品黒むつのアクアパッツァをいただいた後、残されたスープがあまりに美味しく、残すのはもったいないと感じました。そこで特別にお願いして作っていただいた野菜料理がこちらです。

魚の旨みだけでなく、健康維持に重要なオメガ3脂肪酸やビタミンが溶け込んだスープでさっと煮た春野菜、菜の花、かき菜、芽キャベツなど、アブラナ科の野菜が満載です。

そして振りかけられているスパイスは、なんと乾燥させたトマトの皮でした。

食材の持つ力と健康

今後、自炊の機会がさらに増えていくと予想されます。
この機会に、食材の持つ力を活かした料理を積極的に取り入れていくことが大切だと感じます。

これから私は、シェフドクターという立場から、健やかな毎日を支える食材と、その活かし方を、少しずつご紹介していきたいと考えています。

難しい理論や、特別な技術ではなく、日常の中で無理なく続けられること。

食べて美味しく、心が満たされ、その先で体も整っていく。

そんな料理こそが、これからの時代に必要な「健康の形」だと思っています。

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療（precision medicine）を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ