脂質はどのように消化されるのか ししつのしょうか

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口や胃には、脂質の消化酵素がほとんどありませんので、脂質は分解されずにそのまま通過します。そのため、脂肪の多い食品は消化の始まりが遅く、吸収に時間を要します。脂っこい食事をすると腹持ちがいいのはこのためです。

また、脂肪は水に溶けませんので、そのままでは大きな油滴を作ります。しかし、大きな油滴はなかなか消化できないので小さな分子に分解する必要があります。

脂質の消化分解

食物に含まれれる脂質の90%以上はトリアシルグリセロール(中性脂肪)で、化学的に安定した形をしています。食物が胃から十二指腸に送られると、肝臓で生合成された胆汁酸(たんじゅうさん)が胆のうから分泌され、トリアシルグリセロールを乳化し、脂質を消化する準備をします。乳化とは、簡単に言うと水に溶けやすくする作業で、水と油のように本来まじりあわないものを混じりあわせるようにすることです。例えば、牛乳は油ですが大きな油滴はありません。それは、牛乳にはリン脂質という油にも水にも溶ける物質が存在していて、油を水と混ざるようにしているためです。胆汁酸にもリン脂質が含まれており、その働きで食物中の脂質が乳化されます。

そして、乳化されたトリアシルグリセロールは、膵臓から分泌されるリパーゼにより、モノアシルグリセロールと2つの脂肪酸に分解され、小腸内に取り込まれます。取り込まれたモノアシルグリセロールは、再び脂肪酸と結合してトリアシルグリセロールになります。こうして脂質は体内に取り込まれ、脂肪組織に蓄えられます。

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