⑥ 膀胱がん サプリメントとはどう向き合うのか?
Dr.大友Dr.大友
渋谷セントラルクリニック エグゼクティブディレクター
膀胱がんの治療をしていると必ず患者さんに聞かれると思うんですけどサプリメントどうですか?って話になりますよね。
Dr.小池
JR東京総合病院泌尿器科部長
はい。
Dr.大友
まず膀胱がんの手術とか治療によって何か特定の栄養素が減ってしまったりとかってあるんですか。
Dr.小池
ありますね。先ほどちょっとお話しましたけど膀胱全摘した後は代用膀胱なり回腸導管を作ります。そうすると腸管を代用膀胱だったら大体50cm~60cm、回腸導管でも30cmくらい切るわけですね。
Dr.大友
回腸とは小腸ですね。
Dr.小池
はい。
Dr.大友
小腸を30cm~50cmくらい切ってしまう。
Dr.小池
そういうことですね。
Dr.大友
どんなことが起きるんですか。
Dr.小池
そうするとそこで吸収されるビタミン。
Dr.大友
ビタミン。
Dr.小池
特にビタミンB12ですね。あと葉酸とかが欠乏する場合があります。
Dr.大友
なるほど。
Dr.小池
はい。
Dr.大友
そうするとビタミンB12とか葉酸の濃度とかは結構調べたりするもんなんですか。
Dr.小池
そうですね。特に貧血が進行している方に関しては調べたりしますね。あと鉄分。
Dr.大友
なるほど。やはり貧血をきっかけに見つかったりする?
Dr.小池
はい。
Dr.大友
それはでも実際、腸を切ってしまうわけですから致し方がない副作用といえば副作用ですね。
Dr.小池
そうですね。
Dr.大友
それ以外にもどうですか?「先生、何かサプリ摂ったらいいんじゃないですか?」巷にはブロッコリーがいいとか。お茶がいいとか。
Dr.小池
はい。
Dr.大友
そういうサプリメント飲んだらどうですかって言われたりしませんか。
Dr.小池
そうですね。やはり基本は食事から摂って頂くのがいいと思いますね。ブロッコリーとかそういったものに関しては、もちろんサプリメントよりも食べて頂くと。調理して食べて頂くことが重要だと思いますね。
Dr.大友
恐らくブロッコリーそのものは腸管の免疫力を上げて働く。そして慢性の炎症を抑えるからその成分だけ摂ってもいまいち効かないかも知れないっていうことですよね。
Dr.小池
そうですね。
Dr.大友
じゃ、それ食べた上でサプリメント摂りますって言われたらどうしますか。
Dr.小池
それは勧めたいと思いますね。先ほどお話した通り、どうしても食事だけでは摂れない成分もありますので。そういったものに関してはサプリメントで補うのは非常に理にかなっていると思いますね。
Dr.大友
特にビタミンDなんかは。
Dr.小池
そうですね。
Dr.大友
日本だと基本的に太陽光浴びてますといっても冬場はなかなか浴びることも難しかったりしますからね。
Dr.小池
はい。
Dr.大友
適宜そういうもののデーターを見ながら主治医の先生と相談したりということですね。
Dr.小池
そうですね。
Dr.大友
主治医がそういうの興味が無かったらどうすればいいんですか。
Dr.小池
・・・。
Dr.大友
ありますよねえ。
Dr.小池
そうですね。
Dr.大友
ふざけんな。みたいなことになったりしてることもありますよね。
Dr.小池
ありますね。確かに貧血あるのに放置したりとか、そういうのは良くないんで。僕は患者さんの方から言っていただくのも全然ありだと思いますけどね。「何とか測ってくれ」とか言うことも全然ありだと思います。
Dr.大友
貧血を放置することも良くない。恐らく多くの場合は血球が大きくなるタイプの貧血(大球性貧血)が多いと思うんですが。
Dr.小池
はい。そうですね。
Dr.大友
貧血を放置するとやっぱり良くないですか。
Dr.小池
良くないですね。やはり心不全の原因になったりとかしますしね。
Dr.大友
免疫力も下がる。
Dr.小池
そうですね。免疫力も下がりますし。やはり貧血を放置するのは良くないと思います。
Dr.大友
やっぱり土台を固めるっていう意味では。もちろんお食事を見直す上で大事?
Dr.小池
はい。
Dr.大友
膀胱がんでは小腸をある程度切ってしまうから、ビタミンだったり、鉄だったりとかには少し特別な注意を払う必要があるということで宜しいでしょうか?
Dr.小池
そうですね。あると思います。
Dr.大友
ありがとうございます。
大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター
日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)
免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。
またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共あする美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。
小池祐介 JR東京総合病院泌尿器科部長
日本泌尿器科学会専門医指導医、泌尿器腹腔鏡技術認定医、日本排尿機能学会認定医、がん治療認定医、日本臨床腎移植学会腎移植認定医
趣味は90年代洋楽ロック鑑賞となかなか上手くならないゴルフ