
熱海で出会ったモカロールのルーツ
歴史が香る洋菓子店
週末、仕事で訪れた熱海で街を散策していると、昭和の面影を残す素敵な店が数多くあることに気づきました。甘いもの好きな私は、モカロールの元祖と言われる「仏蘭西洋菓子店Mont Blanc」に立ち寄りました。
この店は、写真家ロバート・キャパが愛した場所としても知られています。
キャパは、食後に化粧を直す女性と、仕事に打ち込む初代オーナーの若き日のコントラストを1954年に作品として残しました。この後、キャパはハノイに移り、間もなくして亡くなったため、この店が日本で最後にスナップを撮った場所と言われています。そんな歴史に思いを馳せながら、特徴的な巻き方のモカロールをいただきました。

乳糖不耐症とモカロール
実は、私は40歳を目前にイタリアでバターとフレッシュチーズを食べ過ぎてしまい、乳糖不耐症になってしまいました。そのため、ケーキをはじめとする乳製品を食べる機会を減らすことになったのです。
乳糖不耐症とは、乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が不足していることで、牛乳に含まれる乳糖をうまく分解できない状態を指します。
乳糖が分解できないと、お腹が痛くなったり、下痢になったりすることがあります。原因不明の便秘や下痢に悩んでいる方は、乳糖やグルテンの不耐症の可能性も頭の片隅に置いておくと良いかもしれません。
私にとって、豊かなコーヒーの風味とたっぷりのバタークリームが使われたモカロールは、まさに禁断のケーキでした。
しかし、この数日は体調が良く、乳糖を摂取していなかったためか、思いのほか胃に負担をかけることなく、久しぶりにケーキを楽しむことができました。
熱海に住んでいた文豪、谷崎潤一郎も愛したというこのモカロール、熱海を訪れる機会があれば、ぜひ立ち寄ってみてください。

住所:静岡県熱海市銀座町4-8

〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ


