⑮ 肝臓がん γGTPが高くなると何が困るのか

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【Dr.大友とDr.菰池の対談動画はこちらをclick】

Dr.大友(渋谷セントラルクリニック総院長) 
僕は本来痛みが専門だったわけですが、慢性の痛みは実は老化の要素が大きいと考えています。痛みだけではなくて、ほとんどの多くの病気は何らかの形で老化が関係していると思いますが肝臓はどうですか?老化すると機能は落ちますか?

Dr.菰池 (たまちホームクリニック院長)
他の臓器と同じで肝臓も老化に影響は受けますね。

Dr.大友
と言うことは老化とともにだんだん肝臓の機能は低下してくるという理解でよろしいですか。

Dr.菰池
そうですね。一般の人が感じるところでも「10年前同じ量のお酒を飲んで酔っ払わなかったけども、今は酔っ払う」というのも、肝臓の機能の一つである解毒作用が老化の影響で落ちてるって認識でもいいと思いますね。もちろん、それだけが原因かどうかは分りませんけど

Dr.大友
肝臓にダメージを与えるようなお食事や飲み物、例えばアルコールをたくさん飲み過ぎるとか、高脂肪のものをたくさん摂り過ぎるとか炭水化物をたくさん摂りすぎると老化のスピードはやはり早くなってしまうものなのでしょうか。

Dr.菰池
そうですね。酸化ストレスという考え方からもそれはあると思いますね。

Dr.大友
身体が肝臓の細胞が酸化ストレスによってダメージを受けることによって機能の下がり方が早まってしまう
どれくらいって一概にいうのは難しい、個人差が有るのは分かっていて無茶ぶりでは有りますが、例えば40代、50代、60代、70代は20才くらいの時と比べてどんな感じで減っていくんですか。

Dr.菰池
これ本当に個人差が有ると思うんですよね。先ほど健康診断の話が出ましたけど、お酒を毎日飲まれる方、例え健康診断に異常が出ていなくても、アルコールを飲み続けてる方はダメージが大きいですので。

Dr.大友
なるほど。

Dr.菰池
アルコールによって老化のスピードも速くなりますし、お酒を一滴も飲まない方っていうのは飲む方と比べれば老化のスピードもゆっくりにはなりますね。

Dr.大友
かなりゆっくりですか。ちょっとゆっくりですか。

Dr.菰池
かなりゆっくりだと思います。

Dr.大友
かなりゆっくり。

Dr.菰池
かなりゆっくりだと思います。

Dr.大友
じゃあお酒は飲まないけど脂っぽいものを沢山食べる人どうですか。

Dr.菰池
脂っぽいものを沢山食べる人も同じですね。お酒と同じくらいのダメージは有ると思います。

Dr.大友
炭水化物も一緒ですよね。沢山摂り過ぎていると。

Dr.菰池
炭水化物も沢山摂り過ぎているとダメージがありますね。

Dr.大友
じゃあその3つ、アルコール、脂肪、炭水化物が揃うと最悪ってことですか。

Dr.菰池
最悪ってことですね。

Dr.大友
じゃあアルコールをしこたま飲んだ後にシメのラーメン食べてたらもう肝臓のためには

Dr.菰池
良くないですよね。まあ20代の方がするのはいいかもしれませんけども。

Dr.大友
耐えられるって意味ですね。

Dr.菰池
耐えられるって意味ですね。人間の肝臓は老化していくので、40代、50代でそういうことをしてると後で老化も早くなってくると思います。

Dr.大友
もう20代からずっと肝臓に悪いことをし続けていると40歳くらいで、どれくらい肝機能に差が出ますか。10%くらい?

Dr.菰池
まあ出ると思いますね。

Dr.大友
ということは50歳、60歳になるともう。

Dr.菰池
ちょっと差がひらいていきますね。

Dr.大友
10%が15%になるみたいな。

Dr.菰池
そうなると思います。

Dr.大友
肝臓はおそらく無意識のうちにダメージを受けていると思います。肝臓が悪くなって症状が出てくるころには、肝臓の機能がどれくらい悪くなった時ですか

Dr.菰池
これも個人差が有ると言われてるんですけども、先ほどのAST、ALTが3桁(100)を超えると多分多少の怠さは出てくると思います。
γGTPでも男性と女性でちょっと差は有ると思いますけど、100を超えるような数字だと少し症状が有ってもおかしくないですね。

Dr.大友
数値が100を超える前であっても、肝臓は日々ダメージが蓄積しているわけだからそういった生活は見直さないといけない。

Dr.菰池
仰る通りですね。

Dr.大友
勉強になりました。

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Dr.大友
医学部では体重が減るというのは、がんの予兆とまず習います。
もちろん今の時代は頑張ってダイエットしている人もいますけれども、40代や50代で突然体重が減っているなと思うと逆に声をかけにくい時もありますよね。ダイエットをしてるって知っていれば、’頑張ってますね’って申し上げられますけど。

僕なんかは久しぶりに会って体重が痩せてると何か結構心配になっちゃうですけどそんなことありません?

Dr.菰池
なりますね。

Dr.大友
ところで肝臓がんでも体重は減りますか。

Dr.菰池
肝臓がんでももちろん体重は減ります。

Dr.大友
何でですか。

Dr.菰池
肝臓がんでも他のがんでも体重痩せる方が多いと思います。まず一つとしては肝臓がんの方は食欲そのものが無くなるってこともあります。
他にも、肝臓は先ほどお話しましたようににカラダの代謝を司る臓器です。食べたものを代謝したりする能力が落ちてくると、吸収できる栄養素も少なくなりますからそういう意味で体重は減ってくることが多いがんの一つだと思いますね。

Dr.大友
それでは肝臓がんになって体重が減るのはその代謝をして吸収することができなくなるからということが一つに有るんですね。

Dr.菰池
そうですね。

Dr.大友
他には何か原因はありますか。

Dr.菰池
これも肝臓がんのステージにもよると思います。
肝硬変から肝臓がんになるパターンでも肝硬変の時と変わらずに肝臓がんになっても引き続き代謝が落ちていると思います。
肝硬変を経ない肝臓がんというのも稀に有ります。そういう場合も割と突然症状が出てくるんですが、代謝が悪くなったり、食欲そのものが落ちてしまったり、栄養が吸収できなかったりします。悪液質といってがんの細胞が身体にまわってしまうようなことが原因だと言われていますね。

Dr.大友
ご自身で原因が分からない場合は、食欲が下がってしまうっていうのも気を付けないといけないサインかもしれないってことですね。

Dr.菰池
これは医学部で我々が習うことの一つで基本中の基本ですね。

Dr.大友
食欲の低下と体重減少。これが何か起きたら鬱なども考えられるかも知れませんけど何か身体のシグナルであることは間違いない。

Dr.菰池
SOSでしょうね。

Dr.大友
ダイエットしてもいないのに食欲が低下して体重が減ってくるようなことが有ったらやっぱり身体のSOSではないかと考えて、しかるべき先生にご相談をする。と言う理解でよろしいでしょうか。

Dr.菰池
はい。

 

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)

免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほど鍼治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。

またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。

菰池信彦 たまちホームクリニック院長

日本内科学会認定医、日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化管学会認定指導医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本ヘリコバクターピロリ学会認定感染症認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本カプセル内視鏡学会認定医、日本医師会認定産業医

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