スイスの伝統食と健康長寿の関連性

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アルプスの暮らしが生んだ発酵文化

健康長寿サミットに参加するため、スイスのジュネーブを訪れました。

旧市街の小さな厨房で90年前に生まれたというそのソースは、いくつものハーブとスパイスが折り重なった秘伝の配合で、柔らかな赤身肉とのマリアージュが素晴らしいものでした。

そもそもスイスの人々にとって、チーズやバターなどの乳製品は単なる嗜好品ではありません。
これらはアルプスの厳しい冬を越えるための、発酵による保存食としての役割を持っていました。

カルシウムビタミンDタンパク質、そして発酵菌といった健康維持に必要な栄養素を、文化として食べ続けてきたことが、現在のスイスの健康寿命の長さにつながっていると考えられます。

体質に合わせた食事という新しい医療

Longevity medicineの世界では、自分自身の消化システムに合う食事を摂ることが提唱されています。例えば、アジア圏の多くの人は乳糖を分解しにくく、乳製品が体に合わない方も少なくありません。

その一方で、スイスをはじめとする中欧や北欧の人々は、成人しても乳糖を分解できる体質を持っているため、乳製品摂取による消化への負担が非常に低いという特徴があります。このように、同じ食材であっても、個々の体質によってその影響は大きく異なります。

私は、腸内フローラや遺伝子解析によって食事による身体への影響を数値化し、健康寿命を延ばすための医療を推進しています。

しかしその一方で、美食を知り尽くした方が未来の健康のために、食の喜びをどこまで調整できるものなのだろうかという点についても、深く考えてしまいます。

 

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ  

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