

【K下書き済み】新潟で日本海と砂のテロワールが育む進化系ワイナリー「フェルミエ」を訪ねて テキスト校正済
ピシャージュという手仕事が、ワインに物語を与える
新潟で日本海と砂のテロワールが育む素晴らしいワインを造るワイナリー「フェルミエ」を訪問しました。
2016年にワイン旬会でお世話になって以来、5年ぶりに蔵に入らせていただいたところ、設備も広さもバージョンアップを遂げていました。
この写真は、ピシャージュという作業作業のひとコマ。
赤ワインのアルコール発酵初期に行われる、伝統的な醸造プロセスのひとつです。
タンクの中で浮き上がった果皮や種子などの固形物(果帽)を、上から櫂(かい)で押し沈めながら撹拌していきます。
風と砂と、手のぬくもりでできたワイン
この工程の主な目的は以下の通りです。
- ワインに空気が当たらず発酵が不十分になるのを防ぐこと
- 色素やタンニン、香り成分などをしっかり抽出させること
伝統的な製法では、人間が木樽に入って足で撹拌する「足踏み式」が一般的でしたが、衛生面の問題や発酵中に発生する二酸化炭素の危険性もあり、現在では櫂や機械に移行するところが増えています。
昔のワイン造りは、まさに命がけだったのです。
ピシャージュの頻度はワイナリーによってさまざまです。
頻繁に行うところもあれば、抽出が強くなり過ぎることを懸念して頻度を敢えて減らし、ワインにエレガンスさを与える作り手もあり、方法は千差万別です。
ワインの仕上がりを決めるのは、品種や葡萄の出来、土壌の状態などに一番適した方法の試行錯誤が重要です。
実際にピシャージュを体験してみると、最初は抵抗感がありますが、突然抜ける感じがとても心地よいです。
フェルミエで伺ったお話では、今年のアルバリーニョ種のワインの出来は近年にないほど素晴らしいとのことです。
今から届くのが待ち遠しいです。
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ