遺伝子と疾病予防 いでんしとしっぺいよぼう

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遺伝子に個人差を生じさせるのは「遺伝子多型」です。人間のDNAには、約30置くもの塩基対がありますが、そのうち同じ部分の塩基配列に変異が現れる頻度が集団中1%以上になるものを遺伝子多型と呼びます。

高血圧や糖尿病、動脈硬化性疾患などの生活習慣病は、いくつかの遺伝子的な要因と、その人が生活する環境要因が重なって起こります。生活習慣病の遺伝子的要因が明らかになれば、たとえ遺伝子的に病気になりやすいタイプの人も自分自身の遺伝子多型を踏まえたうえで、環境要因である食生活などの生活習慣を改善していけば、生活習慣病の発症を抑えることができます。

たとえば葉酸を代謝しにくい遺伝子多型の場合、動脈硬化が起こりやすくなり、女性なら出産時、子供が低体重で生まれやすいなどの傾向があります。これらは、積極的に葉酸を含む食品を摂るように心がけることで、ある程度予防できることがわかっています。

まだすべての病気についての遺伝子的要因が解明されているわけではありませんが、研究が進み、明らかになっている遺伝子的要因に好影響のある栄養を積極的に摂取、あるいは悪影響を与える栄養を必要最低限に控えることによって、科学的理論に基づいた疾病予防ができると考えられます。

食生活が予防医学と密接に関連することは、現時点でもずいぶん理解が広まってきました。これは、テレビの情報番組などで「○○がガン予防に効く」として取り上げられて、にわかにその食品が注目されたり、身体の調子を整える機能があることを謳った「トクホ(特定保健用食品)」が数多く発売されて人気を博していることからも明らかでしょう。

こうした万人に向けた予防医学と栄養の知識を活用するだけでなく、さらに一歩踏み込んで「遺伝子多型」を各自が検査したうえで、その人だけに合う「オーダーメイド」型の栄養指導をきめ細やかに行うことがより栄養の疾病予防効果を高めると考えられます。

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