遺伝子と栄養 いでんしとえいよう

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科学の進歩によりヒトゲノムの解明がなされた今、食と健康の関係も遺伝子レベルで明らかになりつつあります。

遺伝子栄養学は、健康状態の改善や病気の発症を防ぐ予防医学的側面のほか、加齢による機能低下を阻止するアンチエイジングにも役立ちます。遺伝子栄養学の発展、普及は、健康的な生活を回復・維持し、生活の質(QOL)を高めます。

食が遺伝子全体にどのような影響を与えるかを調べる「ニュートリゲノミクス」や食で人それぞれの遺伝子的体質をどのように補完していくべきかを研究する「ニュートリジェネティクス」の2分野では、その調査手法の発展によりとくに目覚ましい進歩を遂げています。

[ニュートリゲノミクス]
栄養(栄養素)は、エネルギー源となったり、身体の構成部分を産生するのに必要な成分であることは知られていましたが、ニュートリゲノミクス研究の発展により、食品に含まれる栄養素の一部が、ある組織のある遺伝子に作用して発現を促すという関係性も少しずつ明らかになりつつあります。

たとえば脂溶性ビタミンのうちビタミンAとビタミンDは、様々な遺伝子の発現を変化させる生理作用を示すことがわかってきました。
またエイコサペンタエン酸やアラキドン酸などの脂肪酸がコレステロールの合成を増減させる働きがあることもわかっています。
アミノ酸やペプチドも、遺伝子の発現に関与しており、たとえばロイシンはアルブミンなどの合成作用を高めたり、筋肉内で糖の利用を盛んにしたりする働きがあります。

[ニュートリジェネティクス]
もう一方のニュートリジェネティクス研究によって、栄養指導の個別化も進んでいます。
DNAマイクロアレイという数千の遺伝子の発現の変化を一度に見ることができる検査法を使って「遺伝子多型(遺伝子の差)」を調べることにより、その人に対する食品の影響を調べ、ひとりひとりに合う食事指導を行うというものです。

遺伝子多型が判明すれば「この人は○○という食品を控えることで、○○の病気のリスクを低減させることができる」とわかるのです。

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