③ パーキンソン病の治療には腸が大事な役割を果たしている

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Dr.ピエール大友 (イシペディア編集長)
パーキンソン病は症状が多彩なので治療もすごい大変そうですね。治療はどんなことをなさるんですか?

Dr.余郷(曙ホームクリニック院長)

やはり症状に合わせてと言うところがあります。

一番基本となるところでは、全身に溜まってきているレビー小体と言うのを全部取り除いてしまえばそこで治ると思います。顔のシミみたいなものでそれを発症してから取り除くことは今研究されていますけが、まだできないと言うのが現状です。そのため症状に合わせて薬を飲んで頂くことが治療の主軸となります。

運動症状であれば、ドパミン神経の変性でドパミンが足りなくなっていることで症状が出るなので、ドパミンを飲むとか、ドパミン受容体、ドパミンを感知するところを刺激するような薬を飲むことがメインになります。その他は補助薬として組み合わせていくと言うが運動症状の治療ですね。

あとは自律神経としてはやはり便秘が切っても切り離せないものになりますので便秘の治療薬を飲んだりします。

Dr.ピエール大友
例えばどんなお薬を使いますか?便秘薬にも緩くするのとか腸を刺激するとか色々ありますよね。

Dr.余郷
それはですね。結構全部と言った方がいいかもしれません。

Dr.ピエール大友
全部。最大限の戦力で戦う。

Dr.余郷
はい。最初は酸化マグネシウムなどで穏やかにします。

Dr.ピエール大友
便を少し緩くするようなお薬ですね。

Dr.余郷
そうです。けれどもそれでは追いつかなくなってくるので漢方薬を使ったり、センナを使ったり、手に入る便秘薬のありとあらゆる戦力を使うことが必要になります。

Dr.ピエール大友
病状が進むにつれて便秘症状も悪化していくと言うことですか?

Dr.余郷
そうですね。

Dr.ピエール大友
なるほど。

Dr.余郷
便秘の対処が何で大事かと言うと腸管の動きが悪いと運動症状に対する薬の吸収も落ちてきてしまうからです。そのため便秘はないようにしてあげたいです。

Dr.ピエール大友
腸の調子が悪いと薬が吸収できなくてパーキンソン病の運動症状が出てしまう。

Dr.余郷
そうです。悪くなることがありますから腸のバランスを整えてあげることはすごく大事です。

Dr.ピエール大友
腸は元々原因かもしんないけど、治療中もすごく重要。

Dr.余郷
重要です。

Dr.ピエール大友
なるほど。他はどうですか?

Dr.余郷
あとは血圧の調節も自律神経なので、そういうところがあまりうまく調節できないと立ち上がった時に失神してしまうとか。

Dr.ピエール大友
小学校の低学年が朝礼中に倒れてしまう起立性低血圧みたいなことですか?

Dr.余郷
起立性低血圧とは機序的には違いますが。。

Dr.ピエール大友
どういう時になってしまうのですか?

Dr.余郷
(立ち上がる時は頭に血が行きにくくなるので)血管を縮めてあげないといけないわけですよね。

Dr.ピエール大友
はい。

Dr.余郷
パーキンソン病ではそういうことが上手くできなくなったりします。

あとはお食事の最中に失神してしまうとか、食後立ち上がった時に失神することもあります。なぜかというと食事を食べるとパーキンソン病の方でも正常者でも胃と腸(腸管)に血液が多く配分されてしまうことだったり、食事を食べた時に出るホルモンのためだったり血圧が下がりやすくなるからです。そのため、パーキンソン病の方では血管を縮めるようなお薬を飲んで脳への血流を維持したりします。また、食事に関しても沢山食べてしまうと脳に行くべき血流が腸に持っていかれるので回数を細かく分けて食べるなど工夫が必要です。

Dr.ピエール大友
なるほど。パーキンソン病の治療は基本的にドーパミンの薬によって、それに付随する自律神経や便秘、低血圧に対する対症療法的な感じなのですね。

Dr.余郷
はい。

Dr.ピエール大友
もっと根本的にできる治療はないものですか?

Dr.余郷
今は脳の深部刺激療法と言いまして手術ですね。

Dr.ピエール大友
脳の深いところを刺激する。

Dr.余郷
はい。脳を電気刺激する方法によって内服薬の量が半分くらいまで減らせますので、薬の副作用で苦しんでいらっしゃる方はそういう方法もいいと思います。色々と適用の基準がありますので主治医の先生とご相談して決めて頂きたいと思います。

Dr.ピエール大友
今のお話ですと薬はだんだん効かなくなってしまうのですか?

Dr.余郷
薬自体が効かなくなると言うよりも、神経の変性自体は止める治療法が今のところないので薬が効いていたとしても神経の機能の方が悪くなってしまい薬の効きも悪くなります。

Dr.ピエール大友
その進行を遅くしたいですね。

Dr.余郷
そうですね。進行を遅くするのが我々の研究の対象でもあります。

Dr.ピエール大友
なるほど。脳の手術をしたら刺激する装置は入ったままなのですか?自分で操作できるとか。

Dr.余郷
自分ではできないので外来で先生に調節を続けてもらう必要があります。

Dr.ピエール大友
他にパーキンソン病の治療法はどんなものが?ドパミンのお薬と脳の深部刺激療法、それ以外に何か治療法はありますか?

Dr.余郷
あとは胃ろうをご存知ですか。胃に穴を開けるような感じ。そういうものの延長で少し腸の下の方にチューブを置いて持続でドパミンを流し続けると言う治療法があります。

Dr.ピエール大友
胃にドパミンを入れる。

Dr.余郷
胃からさらに下までにチューブを入れて送ります。

Dr.ピエール大友
そのメリットは?

Dr.余郷
そのメリットは少し根本的な所に戻りますが、パーキンソン病の経過を考えてみた時に発症して数年はハネムーン期と呼ばれていて、どんなに下手な先生が治療してもうまくいきます。

Dr.ピエール大友
ハネムーンなんですね。

Dr.余郷
薬の回数もそんなに沢山飲まなくても良いです。それはなぜかと言うと自分の脳神経自体もうまくコントロールできる機能がまだ残っているからですね。病気が進行してくるにつれて自分自身の脳神経の機能も落ちてくると薬を飲んだ時に今度は効きすぎてしまう。

Dr.ピエール大友
効きすぎてしまう。

Dr.余郷
はい。効きすぎてしまうとジスキネジーと言い体がグネグネ動いてしまい、すぐ効かなくなるオフ症状と言う2つの症状が出始める時があります。そういうものに対応する方法として脳の深部刺激療法だとか持続のドパミン注入方法と言うのは一定の
範囲に治められるのが利点です。

Dr.ピエール大友
はい。

Dr.余郷
ドパミンをチョロチョロと安定的に注入できるわけですね。

Dr.ピエール大友
なるほど。

Dr.余郷
胃ろうから注入すると薬の量が突き抜けてしまいジスキネジアが出てくるとか、切れてしまうのが抑えられます。

Dr.ピエール大友
根本的な進行を抑える方法がないので多角的に治療すると言うことなんですね。

Dr.余郷
そうですね。年々お薬の数はすごい増えています。

Dr.ピエール大友
なるほど。勉強になりました。

このあとはお食事についてお伺いしたいと思います。

 

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)

免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほどハリ治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。

またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。

余郷麻希子 曙ホームクリニック院長

日本神経学会専門医、日本認知症学会専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本抗加齢学会専門医、日本医師会認定産業医、日本体育協会スポーツ専門医、がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会終了
1979年新宿生まれ、新宿育ち。
東京慈恵会医科大学卒業
東京慈恵会医科大学大学院卒業
東京慈恵会医科大学葛飾医療センター神経内科医長

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