ED(勃起障害)のまとめ

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ED(勃起不全)は性機能障害の1つです

EDとは男性の性機能障害の一種で、陰茎の勃起の発現あるいは維持ができないため満足に性交の行えない状態をいいます。

「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られない、または維持できない状態が持続または再発すること」と定義されています。

以下の症状に心当たりがある場合はEDの可能性があります。

  • 勃起するまで時間がかかる
  • 全く勃起ができない
  • 勃起しても中折れする
  • 勃起しても柔らかい
  • たまに勃起しない時がある
  • 性行為に対しての不安

このようにEDは単純に勃起が出来なくなるだけではなく、不十分な勃起や精神的な状態も含まれる症状です。また症状には個人差があり、軽度から重度まで原因が1つのものから複数のものまで様々あるとされています。

EDかどうかの判定は、世界で統一されているED問診票(国際勃起機能スコアIIEF-5)というものを使用します。この問診表では5つの設問(25点満点)があり、「性行為ができない人」から「性行為がたまにできなくなる」などの重症度に分類されます。合計点数が21点以下の場合にEDが疑われます。

ED 症状    勃起障害とはスポンジに血流が届かないこと

日本では成人男性の4人に1人はEDの症状で悩んでいます。性的刺激がうまく伝わらなかったり、陰茎に血液が十分に流れ込まなくなったりする状態になります。

勃起は神経系と血管系が正常に働くことにより起こります。目で見た刺激や物理的な刺激により性的な興奮が神経を介して陰茎に伝わると、陰茎海綿体の血管が拡がり血流が豊富になると勃起が起こります。

EDになると全く勃起ができないと思われますが、EDと判断される症状の範囲は広く、たまに勃起できない軽度のものから、ほとんど勃起できない重度のものまで、定義に当てはまるものは全てEDとされます。

「満足の出来る性行為」でなければEDとされますので、自慰行為はできるが性行為では勃起しない場合もEDです。また、性行為は出来るが妻との場合だけ勃起しない様な、特定の条件でのみ勃起できない場合もEDである診断となります。

【自慰行為の仕方に問題】
人によってはかなり強い力で陰茎を握って自慰行為をするケースや、壁や布団に陰部をこすりつけるケースがあります。こういったケースでは握りしめるなど圧力が強いため、女性の膣の圧力だけでは物足りなさを感じて射精に至ることができない、という方も非常に増えてます。この場合は自慰行為の際の圧を弱くする指導や一般的な大人の玩具を使って疑似的に膣の状況を身体に理解させながら勃起障害のリハビリテーションの一種として治療していくことがあります。

 

ED 原因 こんな人は要注意!

生活習慣病や精神的な疾患など自分では気が付きにくい病気が原因となっている場合もあります。勃起しない、性行為が出来ないというときはその原因を探ることも大事です。

EDは原因により、4つのタイプに大きく分類されます。

心因性ED:精神的なストレスが原因

心因性EDは、疲労や精神的なストレスにより脳内の情報を伝達する物質が減少し、脳から性的な刺激や興奮がうまく伝えられなくなることで起こるEDです。

主に30代から40代にかけての方がなりやすいと言われています。

精神的なダメージには個人差があり原因は人それぞれです。仕事の人間関係やプレッシャー、パートナーとの関係がストレス、以前の性行為失敗のトラウマ、など心因性のEDには多くの理由があります。そのため原因がはっきりとあるため解決できるものもあれば、トラウマの様に深層心理に原因があるため発見や解決が難しいものもあります。深層心理に原因がある場合は、治療が困難になる場合もあります。

精神的な疾患である、うつ病や心的外傷ストレス障害(PTSD)も心因性EDの原因となります。

 

器質性ED:血管や神経の障害が原因

器質性EDは、主に血管と神経の障害によって起こるEDです。

主に50代から60代にかけての方が、器質性EDになりやすいと言われています。

原因となるもののひとつに「動脈硬化」があります。
年齢と共に体が衰え血管が硬化すると、硬く広がらない血管には血液が流れこみにくくなり硬さの弱い勃起もしくは勃起するまで時間がかかるようになります。

また、勃起には神経の伝達が正常に行われなければなりませんが、神経が損傷した場合では、性的興奮が陰茎に十分に伝わらず十分な勃起になりません。
脳腫瘍、脳外傷、アルツハイマー病、パーキンソン病などは自立神経に障害を起こす症状のため、EDになる確率が高くなります。
事故や手術により脊髄に損傷を受けた場合にも、箇所により神経の働きに支障が出るためEDになることがあります。

以前はEDの症状は、年齢を重ねると男性の生殖機能が弱くなり「年のせい」とあきらめてしまう方が多かったと思います。しかし現在は勃起についてのメカニズムが解明され、EDがどういったものか知られるようになりました。

原因不明の勃起障害の3割くらいに心筋梗塞などの大きな病気が隠れていたという報告があります。大きな病気の予兆でもありますので要注意です。

 

◆EDの症状が現れやすい疾患
・動脈硬化 ・糖尿病 ・高血圧 ・前立腺肥大症 ・脳出血 ・脊髄の損傷 ・うつ病などの精神疾患 ・精神的ストレス

 

混合型ED:心因性と器質性の両方が原因

混合性のEDは、心因性と器質性の両方が原因となり起こるEDです。

EDの原因ではこの混合性EDが最も多く、原因が1つだけではないため改善も困難で重症化しやすい特徴があります。動脈硬化の影響や、ストレスだけでEDになるということは少なく、複数の原因が重なることでEDになりやすくなります。

中年層になると生活習慣から血管へ負担がかかり勃起しにくくなります。さらにホルモン分泌の低下で、ストレスへの抵抗力も下がります。これらの相乗効果でEDを重症化させます。また、一度でも勃起不全を経験すると不安感が強まることで更にEDが重症化することもあります。

複数の原因が複雑に作用するため混合性EDの改善は困難になっています。

 

薬剤性ED:特定の薬剤が原因

服用する薬の副作用が原因となり起こるEDを薬剤性EDと言います。

うつ病の治療薬や降圧剤、前立腺肥大症の薬、非ステロイド性抗炎症剤などを服用することでEDの症状が現れるものもあります。

  • うつ病や不安症の治療に使われる医薬品:脳内伝達物質に関わり興奮や緊張を抑える働きがあるため、性的欲求や勃起にも影響が現れます
  • 一般的な抗うつ剤:SSRIに属するパキシルやレクサプロ、ジェイゾロフトにEDや性欲低下の副作用がみられます
  • その他、血圧を下げる薬や前立腺肥大症の薬、非ステロイド性抗炎症剤などにEDの副作用があると確認されています

EDのリスクファクター

  • 喫煙:喫煙は動脈硬化に関連します
  • 糖尿病:血管や自律神経に悪影響を及ぼします
  • 高脂血症:動脈硬化の原因として関わってきます
  • 前立腺肥大:前立腺肥大の薬には勃起障害を引き起こす可能性のある薬があります
  • アルコール:アルコールを飲むと一般的に血管が広がりますが、射精まで行きつくかとなるとあまり良くないと言われています

勃起するのと射精は別の問題です。
理由として、射精は交感神経が優位になるからです。アルコールの働きで血管が拡がり血流は良くなりますが、射精時にアルコールを飲んでいると、リラックスして交感神経がうまく働かずうまく射精ができなくなることがあります。性的なことがあるときのアルコール量は普段の半分から1/3くらいを目安にするといいでしょう。

ED治療薬:バイアグラ・レビトラ・シアリス

EDの改善の第一選択として、ED治療薬の使用があります。

EDの原因は様々ありますが、一部の原因を除き(勃起に必要な神経や細胞の外傷など)ほとんどの原因の症状にED治療薬は有効です。

血管拡張には、一酸化窒素(NO)が非常に重要で、そのため一酸化窒素(NO)を含んでいる薬を飲むと陰茎の血管拡張により勃起を促す働きがあり通常より勃起し易くなると言われています。

ED治療薬はPDE5阻害剤と呼ばれ、PDE5の働きを阻害することで、勃起をしやすく維持させる働きがあります。

ED3大治療薬の効果

即効性 効果の持続時間
バイアグラ 服用後30~60分  3~5時間
レビトラ 服用後15~30分 4~10時間 
シアリス 服用後約1時間 24~36時間

 

ED3大治療薬の特徴

特徴
(食事の影響・飲むタイミングなど)
バイアグラ

バイアグラは食事の影響を受けやすい薬です。バイアグラはアルコールにも影響を受けますので空腹時、食事を摂らない状況で飲みます。

バイアグラは心筋梗塞や狭心症の薬を開発している途中に見つかった薬です。
血管拡張のお薬を飲んでる方は禁忌。

レビトラ レビトラはバイアグラに比べ食事の影響は出にくい薬です。バイアグラで副作用があった方、あるいは食事の影響を考えてる方はレビトラがお勧めです。
シアリス シアリスの特徴は、作用時間が非常に長く、36時間程度効果があります。
食事の影響は受けにくいので、長時間効かしたい方にお勧めです。作用時間が長い分、バイアグラやレビドアに比べるとマイルドに効く感じです。アシストするくらいと考えてご使用するといいかもしれません。

ED治療薬は、胃の中が空腹の状態で飲むことで効果があります。食事の影響を受けないとされている薬でも消化の悪いお食事は避けた方がいいです。

 

【バイアグラの副作用】
心血管系の病気(心筋梗塞、狭心症)のリスクを高める可能性があるため、血管拡張のお薬を飲んでる方は禁忌です。
一概に心臓が悪いから飲んではいけないというわけではありません。不整脈などでは問題ありません。まず泌尿器科の医師に相談しましょう。

【泌尿器科の専門医しか知らないバイアグラの副作用】
糖尿病、あるいは前立腺肥大の薬を飲んでいる方に多い、逆行性射精と言われる合併症があります。

逆行性というのは逆に行く射精です。一般的な射精は、膀胱の入り口が収縮することにより尿道から外へ射精されます。

前立腺肥大症の方は、尿を出すために尿道を拡げる薬を飲んでいますので、そのような状態で射精をすると膀胱の方に射精してしまうことになります。精子はは後でお小水と一緒に出てきます。このような合併症の予防薬としてはアモキサンが効果的です。

 

【ED治療薬の処方について】
勃起不全治療薬を処方してもらうには、医師の下で診断を受けます。勃起不全治療薬は厚労省の認可を受けていますが、保険は適用されていません。個人輸入薬はWHOの調査では半数が偽物と報告されています。また、安全で衛生な環境で製造されているかが分からないため個人輸入をすることはお勧めできません。

 

EDを改善する食事 

EDは生活習慣の乱れが原因となる場合が多く、その大きな割合を占めるのが食生活です。

食生活を改善し体重の増加を防ぐ事で、EDの大きなリスクファクターである血流障害を防ぎ、勃起に必要な健康で柔軟な血管を保つことが大事です。

血流を増やす食材

「血流を増やす」という観点からのお勧めの食べ物は、一酸化窒素(NO)が多く含まれているものです。

ニンニク、トマト、アボカド、胡椒、ぶどう、グレープフルーツ、カカオなどに一酸化窒素が多く含まれています。

普段の食事から摂ることがおすすめですが、性行為を行うその日に摂ることも大事です。

 

男性ホルモンを増やす食事

EDの原因の一つとして男性ホルモンが低下することがあげられます。

男性ホルモンを上げるのに良いのは良質なタンパク質を摂ることです。これは動脈硬化の予防にとってもおすすめです。

EDには脂肪の問題があるため、肉よりは魚の脂がいいとされています。オリーブオイルそのものも男性ホルモンに良いと言われています。

抗酸化作用の働きが強いトマト、ケール、牡蠣、アブラナ科の野菜なども効果的です。牡蠣に含まれている亜鉛は精子の栄養源ともなります。

 

動脈硬化を予防する食事

フレッシュな生のナッツであれば抗酸化物質も多くミネラルも食物繊維もタンパク質も入っています。ミネラルと食物繊維が多く摂ることが大事です。

 

性欲をあげる食事

スイカには性欲を上げる作用があるという報告があります。
コーヒーは血流障害に働きますのでEDには良いとされています。

 

 

ED おすすめの食材

  • 精製してない穀物(玄米やそばなど)
  • 血流改善の働きがある「アルギニン」(鶏肉、大豆、エビ、マグロなど)
  • 血管拡張作用がある「シトルリン」(スイカ、メロン、きゅうりなど)
  • 血行促進作用がある「ビタミンE」(ナッツ類、鰻、アボカドなど)
  • 体内で血圧降下や神経伝達に働く食材(わかめ、鰹節、ゴボウ、イワシなど)
  • 性機能を高める「亜鉛」(牡蠣、アーモンド、豚レバーなど)
  • 血液をサラサラにする「EPA」(サバ、イワシ、サンマなどの青魚)
  • 血流を高める「イオウ化合物」(ニンニク、玉ねぎ、ニラなど)

 

ED 避けた方が良い食べ物

脂っぽいもの、炭水化物、高カロリーでコレステロールや動物性の脂肪が多いものを、食べ過ぎるとEDの引き金になる可能性があります。

  • ファストフード
  • ラーメン
  • 揚げ物
  • ジュース
  • ケーキ
  • バターを使った食品
  • 脂の多い肉の過剰摂取

性欲をあげる治療

男性ホルモン(テストステロン)のレベルを測って、男性ホルモン値が低い人に対して薬を補充します。

ED補助薬には勃起を補助すると同時に、精神上お守り的に働いて気分も落ち着き性欲が出てくることも期待されます。

勃起障害の方はバイアグラなどのED補助薬がお守りとして働いていることがあります。
また、ED補助薬を飲むことによって性欲(デザイア)が増える可能性があります。

男性ホルモンを抑える薬は勃起障害の原因に繋がることがあります。

ED エクササイズは最大の治療

適度な運動はEDの改善に必要です。EDの治療はお食事と併せてエクササイズを考えていくことが大事となっています。

正常な勃起をするためには、血液循環を良くする有酸素運動はおすすめです。有酸素運動とは、多くの酸素が必要な長時間の運動とされ、糖や脂肪を酸素と共に分解していきます。有酸素運動は中程度~高強度の運動の方が効果が高いと言われ、中でもジョギング、ランニング、サイクリング、水泳、登山が最適とされます。

毎日であれば30分程度のウオーキング。高強度のエクササイズなら2時間くらいを週一回。
一酸化窒素(NO)が出ることが重要という観点から、筋トレをして血管を収縮させたり生じさせることが大事です。

 

 

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