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ワンコ先生に教わるCBD 歴史編

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Dr.大友
そもそも医療大麻はどうしてイスラエルが盛んなのですか?

ワンコ先生
イスラエルは知られざる医療大麻大国なのじゃ。何せへブライ大学のラファエル・メコーラム教授は大麻の成分を突き止めた第1人者なのだ。お前さんもCBD(カンナビジオール)やTHC(テトラヒドロカンナビノール)については聞いたことはあるじゃろ。

Dr.大友
それは麻酔科の専門医試験の時に勉強しましたよ。最近はCBDが痛みや不安に有効かもしれないって話も聞いたことがあります。

ワンコ先生
そうじゃ、思い出しおったか。大麻は遠い昔から医療として使われてきたんじゃ。それでは大麻の歴史から話してやろう。

Dr.大友
はい。お願いいたします。

ワンコ先生
紀元2世紀から神農と呼ばれる古代中国の伝承に登場する三皇五帝の一人が大麻を使っていたこと知られているのじゃ。

Dr.大友
随分昔からなのですね。それにしても強面な感じです。

ワンコ先生
バカモン。神農は医療と農耕の知識を古代の人々に広めた偉人じゃぞ。お前さんも神農本草経のことを聞いたことあるじゃろ。

Dr.大友
いちいち怒らなくても。漢方の教科書にはよく出てきますね。中国以外の場所でも使われていたのですか?

ワンコ先生
アーユルヴェーダ、つまりインドの伝統医学でも大麻は積極的に使われてきたのじゃ。

Dr.大友
大昔は薬がなかったから分かりますけど、近世では大麻が薬として使われたという事実はあるのですか?

ワンコ先生
英国のヴィクトリア女王の主治医でもあったSir John Russell Reynoldsが不眠症の治療に用いたことが知られておる。

Dr.大友
ヴィクトリア女王! 1800年代の話ですね。確かクロロホルムを用いた無痛分娩を行った女王としても有名ですが、かなり進歩的な人だったんでしょうね。

ワンコ先生
18世紀にはモルヒネ、医療大麻、唐辛子を混ぜた商品もあったぐらいなのじゃ。

Dr.大友
それはなんだか効きそうな感じですね。何に使われていたんですか?

ワンコ先生
もちろん麻酔や痛み止めじゃ。それ以外にも筋肉のケイレン、不眠症でも使われていたようじゃな。

Dr.大友
さすがにワンコ先生はその時代はまだ生まれていないですよね?

ワンコ先生
どうじゃろな。 ただひとつ言えることは1800年代から1900年までの間は大麻は医薬品として扱われていたということじゃ。

Dr.大友
逆に言うと現代に使われなくなったのは何か問題があったからではないのですか?他に安全な薬があればわざわざ有害なものを使う必要がなくなったとも考えられますし。

ワンコ先生
昔から医療大麻は安全か安全じゃないかというのは意見の分かれるところなんじゃ。ただ事実としては第二次世界大戦前後に医療大麻は禁止されるようになったのじゃ。そして世界中で医療大麻を取り締まるようになったのじゃ。

Dr.大友
それでは医療用の大麻は廃れてしまったわけですね。

ワンコ先生
日本では大麻取締法で禁止されているので医療目的の使用は禁じられているが、海外には大麻の成分を用いた医薬品もあるのじゃ。

Dr.大友
へぇ。製薬会社が使っているのですか!どんなものに使われているのですか?

ワンコ先生
最初はエイズ患者の食欲不振や体重減少、多発性硬化症などを治療するために使われ始めたのだな。 セサメット、ドロナビノール何ていう名前で販売されている。これらはTHCだけの製剤じゃな。

Dr.大友
特殊な疾患といえば特殊な疾患ですね。なかなか普通には縁がなさそうですけど。どうしてアメリカでは解禁の流れができたのでしょうか?

ワンコ先生
それはCBDじゃな、ナビキシモルスという薬は多発性硬化症、過活動性膀胱の治療にも用いられているのじゃが、THCとCBDの合剤じゃ。

Dr.大友
THCとCBDの違いが良く分かっていないのですが。。。

ワンコ先生
いずれ教えてやるワン。何はともあれ大麻の研究は取り締まりが厳しくなったのじゃが、1990年代にカンナビノイドが発見されたことから新しい展開を見せることになったのじゃ。

Dr.大友
それがきっかけになって見直されるようになったということですか。カンナビノイドって言葉も分からないし、次は大麻の成分について教えてもらえませんか?

ワンコ先生
良いじゃろ。コーヒーお替り。

 

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)

免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほどハリ治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。

またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。

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