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ワンコ先生に教わるCBD 世界では既にお薬として流通しているらしい

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Dr.大友(イシペディア編集長)
一言で大麻と言っても捉え方が色々だということがよくわかりました。お薬に医療大麻の成分が使われていることはないのですか?

ワンコ先生
良い質問じゃ。実は 海外では医療大麻の成分であるTHCやCBDを取り入れた薬が存在するのじゃぞ。

Dr.大友
それは知りませんでした。

ワンコ先生
GWファーマシューティカル社(GW社)はイギリスのバイオ医薬品企業で、多発性硬化症の治療薬としてナビキシモルス(商品名サティベックス)を発売しているのじゃ。


Dr.大友
多発性硬化症の治療薬としても使われているのですね。医療大麻はてんかんなどにも有効だと言う YouTube を見たことがあるんですが、まだ実用化されていないのでしょうか?

ワンコ先生
GW社はドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群の治療のためにCBDを用いたエピディオレックスを発売していて2018年6月にはアメリカで医薬品として承認されたのじゃ。またGW社は日本の大塚製薬とも提携しているのは知る人ぞ知る話じゃぞ。

Dr.大友
そういうことであれば医療大麻を街で買って(ディスペンサリー)吸う必要などはなさそうですね?薬を取れば良いだけではないですか?

ワンコ先生
その通り。娯楽と医療の部分がごっちゃになっているのが最大の問題点なのじゃ。ただ薬として適用が認可されている病気は限られているので、代替医療という形で今はスタートしているのだよ。

Dr.大友
考えようによっては日本の漢方薬のような感じがしなくもないですね。

ワンコ先生
そうじゃな。ただ大麻の栽培は各国で制限があることや出所の不明な品種は使えないことから当初は様々な問題を解決する必要があったようじゃな。

Dr.大友
こうした薬はどのようにして体に働きかけるのですか?

ワンコ先生
それにはエンドカンナビノイドシステム、ECSについて知らないといけないな。CBDやTHCといった物質はCB1受容体やCB2受容体に働きかけるのだ。つまりCBDやTHCが鍵でCB1、CB2受容体は鍵穴ということじゃな。受容体のスイッチがオンになるとエンドカンナビノイドシステムは体内で様々な生理的な変化をもたらすのじゃ。

Dr.大友
例えば?

ワンコ先生
痛みの感じ方だったり、記憶力だったり、食欲だったり、免疫力だったり、抗炎症作用と数多くのことに関わっておる。エンドカンナビノイドシステムが上手く働いているので病気にならずに健康でいられるとと言っても言い過ぎではないのじゃ。

Dr.大友
エンドカンナビノイドシステムは人間をストレスから守ってくれるということですね。

ワンコ先生
そうじゃよ。CB1受容体は脳、脊髄などの中枢神経に多く存在しておるし、CB2受容体は白血球、脾臓、扁桃腺、リンパ節などの免疫細胞が多い所に存在するのじゃ。

Dr.大友
CB1受容体が働くとどんなことが起きるのですか?

ワンコ先生
CB1受容体が活性化すると食欲が増えたり、痛みを感じにくくなったり、筋肉がリラックスしたりするのじゃ。また精神作用、つまりハイになるのもここが刺激されるからなのじゃ。

Dr.大友
なるほど。CB2受容体は?

ワンコ先生
主に免疫力の調整をしているのじゃ。その他にも炎症を抑えたりする働きもある。ここはとっても重要なのだが、CB2には精神作用はないことはよく覚えておくのだぞ

Dr.大友
はい。CB1受容体やCB2受容体を刺激するのがTHCやCBDということですか?

ワンコ先生
そういうことじゃ。大麻には他にも様々な成分があるので、あとで教えてやろう。人間は自分でもこうした受容体を刺激する物質を分泌できることは知っておるか?

Dr.大友
内因性カンナビノイドですね。

ワンコ先生
良く知っておるな。アナンダミドと2-AGが有名じゃな。つまりこうした内因性カンナビノイドや大麻由来の成分であるTHC,CBDがエンドカンナビノイドシステムを刺激することによって健康のバランスを取ろうというのが基本的な理念なのじゃ。

Dr.大友
だから病気によってTHCやCBDの配合が違うということなのですね。

ワンコ先生
病気によってシステム異常の種類が違うので、それに応じた種類のものを使わなければならないのじゃ。

Dr.大友
やっと分かってきたような気がします。次はいよいよ CBDとTHCについて教えてもらえる感じでしょうか?

ワンコ先生
そうじゃな。

 

大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本医師会認定産業医、国際抗加齢医学会専門医(WOSAAM)

免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、再生医療、運動療法を取り入れた新しい統合医療をベースにした診療で著名人にもファンが多い。最先端の西洋医学に通じている一方で、「鍼治療の魔術師」と呼ばれるほどハリ治療の名手で東洋医学にも造詣が深い。

またワインと健康食の愛好家しても名高く、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュのワイン騎士団から名誉ある「シュバリエ」を叙任されているほか、料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有する美食家が集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会の「オフィシエ」でもある。

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