牛骨スープは腸の健康に良いのかを考察
腸は免疫の要
2年前の夏は韓国の友人に誘われてソウルを旅していた。
彼が面白いのは、この店ではこれが美味しいから他のものは食べなくて良いというスタイルなこと。
さて二人で飲みすぎた翌日に、これを飲めば絶対に元気になれるとお昼に連れて行ってくれたのが市場近くの牛骨スープのお店。
ニューヨークやロサンゼルスなら「ボーンブロス」と呼ぶだろうスープは牛、鶏、豚などの骨からとったスープのことで、長時間煮ることで得られるグルタミン、グリシンなどのアミノ酸やミネラルが腸に効くと話題。
腸は免疫の要と言われていて、ここがダメージを受けると慢性炎症(TNFαなど)を引き起こすことにより様々な病気の火種になってしまいます。
安倍元首相の潰瘍性大腸炎もそうだし、うつ状態、アトピー性皮膚炎、腰痛、関節炎、糖尿病、肥満、がんや認知症まで慢性炎症が関わっている病気は無限にあります。
ボーンブロスでダメージを受けた腸を修復!
難しい話を無理やり短くすると、ボーンブロスは以下のように腸を修復してくれます。
1. ゼラチンが水分を吸収するので、粘液の層が厚くなる
2. ゼラチン、グリシンは慢性炎症の広がりを減らす
3. グルタミンは消化管粘膜と腸壁の免疫力を高める
4. グリシンが睡眠の質を上げて、寝ている間に身体の修復力を高める
それなら毎日牛骨スープや豚骨スープを飲んでいれば腸は絶好調なのかというと、やはり腸へのダメージを減らすことが何より大事。
腸にダメージを与える可能性があるのは、グルテン、乳糖、アルコール、カビ毒、添加物など人によってそれぞれ。
この日のDr.ピエールであれば、前日のアルコールによって腸に生じた火種(炎症)をスプリンクラー(牛骨スープ)で消したということになります。
つまり、最初からそんなにたくさん飲むべきではなかったってこと。
慢性炎症による病気を治すには引く(デトックス)だけでも、足す(サプリ、ボーンブロス)だけでもダメ。
足し算と引き算がシーソーのように上下しているので、うまくバランスをとっていく必要があります。
体調が悪い時は余計なもの、つまり火種を減らしながら、必要なものをしっかり足すことで消化活動をする必要があるということです。
少し難しい内容だったかもしれないけど、最後までお付き合いありがとうございました。
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ