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バスク伝統の味「ピルピル」の魅力と健康効果

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独特な調理法が生み出すタラの旨みと食感

北スペインに位置するバスク地方の伝統料理「ピルピル」は、タラの旨みが溶け込んだ非常に滑らかなソースが特徴の一品。
材料や分量はアヒージョと全く同じですが、食感や仕上がりの軽やかさが大きく異なる料理となります。

材料も分量もアヒージョ と全く同じなのに、触感もヘルシーさも全く違う料理になるから不思議。

用意するのは、土鍋にたっぷりのオリーブオイルニンニク、唐辛子、皮付きのタラ。
アヒージョはここからぐつぐつと煮ていきますが、ピルピルは温度を40度に保ち続ける必要があり、そのため絶えず鍋を揺すり続けなくてはならないという忍耐力のいる料理です。
鱈の皮と身の間から出てきたゼラチン質がオイルとうまく乳化してくると、「ピルピル」と音が聞こえてきます。これが料理名の由来であり、成功の合図となります。

貴重なココチャスと健康を支えるアミノ酸パワー

いわゆる低温調理であるため、タンパク質にも余計な負荷がかからず、旨みや食感が美しいだけでなく、糖化ストレスに配慮した料理でもあります。

このピルピルの美味しさを引き立てているのはタラです。タラは脂肪分が少ないうえ、ロイシンやリジンなどのアミノ酸が多く含まれているため、健康を意識したいときに適した食材です。

ただし、ここで使われているのは日本のタラとは少し異なる存在感のある部位で、「ココチャス」と呼ばれています。ココチャスとは魚のあごの骨についている小さな肉の塊のことで、一尾からひとつしか取れず、大きな魚でも10gにも満たないという非常に貴重で高価な食材です。日本でも食べてみたくて探してみましたが、現在のところ見つかっていません。

バスクでは毎年ピルピルのコンクールも行われており、参加者たちはまるで科学者のように頭を悩ませながら美しい乳化を目指しています。一日も早くコロナウイルスが終息し、また活気あふれる美食の都を訪れたいと切に願っています。

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ  

 

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