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日本と中国のシャコのサイズの違いについて考察

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香港・鯉魚門で楽しむ海鮮料理とエピジェネティクスの関係

香港の友人に案内され、海沿いの鯉魚門を訪れました。ここでは、数多くの鮮魚店から食べたい魚介類を選び、それをレストランで好みに合わせて調理してもらうというスタイルが特徴です。

今回はカニ、シャコ、ハタ、マテ貝などを選び、香港流に調理していただきました。

食事中「日本のシャコはちっちゃいよね?」、「いやいや香港のシャコが巨大すぎるんだよ」という話に…

この違いには、私が専門としている、アンチエイジングや老化医療の世界で一番注目されている「エピジェネティクス」が関係しているようです。

エピジェネティクスとは

エピジェネティクスとは、遺伝子そのものの配列は変化しないが、環境の影響によって遺伝子の発現が調整されること。
食べ物、温度、ストレスなどが遺伝子のオン・オフに影響を与え、個体の成長や特徴に変化をもたらすことがあります。

エピジェネティクスで有名な例として挙げられるのが、女王蜂と働き蜂を分ける「ローヤルゼリー」の話です。
ローヤルゼリーは蜂が体内で分泌する特別な栄養物質であり、幼虫期にこれを摂取した蜂は女王蜂となり、長命で繁殖能力を持つようになります。一方でローヤルゼリーを摂取しなかった蜂は働き蜂として一生を終えます。このように環境要因が生物に大きな影響を与えることがわかります。

シャコの大きさに見るエピジェネティクス

日本と中国に生息するシャコの大きさの違いは、食べる餌、海洋の温度、塩分濃度などの生息条件が違うからサイズが変わるからのようです。ちなみに温暖な海域ではシャコがより早く成長し、サイズが大きくなるようです。

エピジェネティクスは古くからの医食同源の概念を温故知新したように考えていただくとわかりやすいかもしれません。

今回の食事では、アムール・ド・ドゥーツ2005というシャンパーニュを合わせ、友人と語り合いながらいただく香港ディナーは幸せすぎる時間でした。

エピジェネティクスは、これからの医学の主流になってくると思うので、またお話しさせていただきます。

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ  

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