スペインが長寿国になる理由と地中海料理の力
スペインの三つ星レストランで長寿の秘訣を考える
三つ星レストランでどうしてスペインが世界一の長寿国になるのかという議論を交わしました。
こちらはバルセロナのミシュラン三つ星「ラサルテ」のザリガニのカルボナーラ。
半生のザリガニは初めてでした。こちらのお料理はベースはイタリアン、ワインはフランスをベースに、スペインのエッセンスで全体をアレンジしているような印象を受けました。
さて、今日の本題。
スペインは2040年までに平均寿命が85.8歳に達し、日本や香港を抜いて世界一の長寿国になると予想されています。
でも、路上でタバコはプカプカ、年間の飲酒量は平均11.2リットルと、世界平均の6.2リットルのほぼ2倍、ヨーロッパ平均10.9リットルも上回っているなど決して聖人君子的な生活をしているわけではありません。
長寿の理由はオリーブ油とコミュニティの力
結論は二つ。
一つは魚やオリーブ油を多用し、慢性炎症を減らし心血管疾患、がんの減少に効果的な地中海食というところに落ち着きましたが、若者はファストフードの普及と共に果物や野菜の消費が減少しているようです。
もう一つは仲間との繋がりが強いコミュニティがあるということ。
予防医療においては、コルチゾールと言うストレスホルモンを出さないのがとても重要です。
グルテンフリーとかラクトースフリーと騒がれているのは、消化できない食べ物を摂ると消化器に炎症が生じてコルチゾールが増えることを避けたいとの理由から。
同様に心理社会的なストレスによるコルチゾールを増やすことになる不安、怒りや社会的な孤立を防ぐためにもコミュニティに所属することは重要です。
例えば、バスクは美食という観点からコミュニティを作ったことで有名です。
ただ世界的にそうですが、ご多分に漏れずスペインでもウェブでの繋がりが地元コミュニティより大事に思う人が増えているなど、これまで成功してきた予防医療のシステムが破綻しかけているとのことでした。
難しい話はこれくらいにして、ピエールが今回バルセロナで一番気に入ったのは「Bar Mut」というイケてるワインバーで飲ませてもらった古酒のカバ。
15年経ったカバにはシャンパーニュにはない味わいと華やかさがあり、3杯もお代わりしてしまいました。
ボゲリア市場も楽しいですし、またゆっくり来たいと感じました。
Lasarte
Carrer de Mallorca, 259, L’Eixample, 08008 Barcelona
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ