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エスカルゴと赤ワインがもたらす健康への福音

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6年ぶりのブルゴーニュ

コロナ禍を経て、6年ぶりにブルゴーニュを訪れました。

皇太子時代に天皇陛下も訪れたことで知られる、サントネイ村のドメーヌ・フルーロ・ラローズにお邪魔しました。

料理がお上手なことで知られるマダム久美子さんのエスカルゴは、まさに絶品でした。
こちらのアリゴテやロゼと合わせると、至福のひとときを過ごすことができます。

フレンチパラドックスとベタイン

ワイン好きが健康について語る際の「言い訳」として、フレンチパラドックスという研究があります。

これは、フランス人は肉やチーズ、バターをたくさん食べ、喫煙率も高いにもかかわらず、動脈硬化の患者が少なく、心臓病による死亡率も低いというものです。

一般的には、赤ワインに含まれるポリフェノールが心臓の動脈硬化を防いでいることが理由とされています。
しかし、私は食べ物の組み合わせも関係していると考えています。

その代表の一つが、エスカルゴに含まれるベタインという成分です。
ベタインは、肝臓への脂肪の沈着を防ぎ、脂肪の排出を促進します。

少し医学的に説明すると、ベタインには以下の働きがあります。

  • ホモシステイン代謝の調節:ホモシステインという物質の代謝を調節し、血管内の炎症や動脈硬化の進行を抑制します。
  • 抗酸化作用:抗酸化作用を持ち、活性酸素を除去することで血管内の酸化ストレスを減らします。
  • 血管の健康維持:血管内皮細胞の健康を維持し、血管の柔軟性や弾力性を高めます。
  • コレステロール代謝の改善:LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化を抑制します。

また、動脈硬化の予防以外にも、アルコールによる肝臓へのダメージを減らしたり、の健康を保ったりする効果もあり、お酒を飲む人には嬉しい成分です。

今回はアンコウのアメリケーヌソースと1996ヴィンテージのクロ・ド・ラ・ロクモールをいただいたり、秘蔵のラム酒をいただいたりと、いつもよりたっぷり楽しみましたが、翌朝の目覚めがすっきりしていたのは、エスカルゴのおかげもあるのかもしれません。

ベタインはタコやイカなど、居酒屋で食べられるものにも含まれています。これは、お酒を飲む世界共通の二日酔い予防手段なのかもしれませんね。

追伸:初めてのブルゴーニュのワイン畑を巡るサイクリングも楽しかったです。

 

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ  

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