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シャンパーニュの帝王、1989年のクリュッグと対峙する

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シャルドネ100%の気高さに惑わされる

ある方から、「このシャンパーニュ、何か当ててみて」と言われて、ソムリエ気分でブラインドに挑戦。

グラスを一瞥しただけで感じる高貴な黄金色の液体に浮かぶ細き泡。
これは明らかにただものではないと感じるシャンパーニュです。

少しひと口含んだ瞬間、とっても繊細で一本気な印象を受けたことから、ピノノワールやピノムニエといった種類の葡萄を使っていないシャルドネだけのシャンパーニュだと絞ってみる。

次に鼻の香りフィルターを通す。
どこかシェリー酒のような香り。
あらためてゆっくりと喉に落とし込むと熟成感の中に泡も細かく綺麗で、酸で引きしまった芯を感じられます。
気分はまさに、世界ソムリエコンクールの田崎真也さん。

頭に浮かんだのは三つ星生産者の代表格、サロン、あるいはジャック・セロス。
私自身、サロンの推薦でシャンパン騎士団を頂いた経験もあり、熟成の具合いから「サロン1990年代後半」というファイナルアンサー←なんて単絡的…)。

答えは、クリュッグ「クロ・デュ・メニル」1989年。
三つ星生産者の中でも別格とされるクリュッグ、その中でも特に希少で高価な一本です。

ピエールの挑戦はあえなく撃沈してしまったわけです。

「シャンパーニュの帝王」クリュッグ

クリュッグが「シャンパーニュの帝王」と称される理由は、西川恵さんの著書『エリゼ宮の食卓』からも読み取ることができます。
それはフランス大統領府が晩餐会でエリザベス女王や平成天皇のような最重要VIPに対してのみ供しているから。

クロ・デュ・メニルは、その頂点に位置する存在。
特に高価なシャンパーニュの一つで、1.8haほどのクロ・デュ・メニル(地名)の単一畑から収穫され、単一品種シャルドネ100%のブラン・ド・ブラン。

結論。品種は当てられた。けれど生産者もヴィンテージも外し、まだまだ修行が足りません。
そして同時に、これだけのシャンパーニュを一生のうちにあと何回飲めるのだろう…。そう思わずにはいられない幸せな夜でした!

 

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ     

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