極性脂質の役割 きょくせいししつのやくわり

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極性脂質とは、電荷の分布に偏りがある、つまり微弱な電気を帯ているような脂質の総称です。極性脂質の典型的な例としては、細胞膜を構成するリン脂質や糖脂質が挙げられます。

リン脂質は、疎水部(脂肪になじみやすく、水になじみにくい部分)と親水部(水に馴染みやすく、脂肪になじみにくい部分)の2つの部分に分けられます。この性質を持っているために、疎水部を内側にして二重層を形成します。これが細胞膜の主要な構成成分になっているのです。脂質二重層は浸透性があり柔軟であるため、細胞内外への物質の移動が比較的自由に出来るようになっています。

またリン脂質は、体内で脂肪が運搬されたり貯蔵される時に、タンパク質と脂肪を結びつける役割も担っています。さらに、特定の酵素によって分解されることで、体内のシグナル伝達においても重要な役割を担っているということが、明らかになってきました。

リン脂質にはいくつかの種類がありますが、よく知られているのはレシチンです。レシチンの不足は、疲労、免疫力の低下、動脈硬化や糖尿病といった生活習慣病を引き起こす可能性があるので注意が必要です。レシチンが多く含まれる食品としては、卵や大豆が挙げられます。

糖脂質は、リン脂質とともに細胞膜を構成する成分の1つで、細胞膜の外側に存在しています。また、免疫機能においても重要な役割を担っている物質です。

重要な役割を担っている糖脂質ですが、生体全体でみるとその量は微量であるため、近年になるまではその役割については分からないことが多い物質でした。しかし、1980年代以降、分析・合成技術の向上や新たな手法の開発により、糖脂質の詳しい構造や体内での役割が明らかになってきました。糖脂質は私たちにとって、まだまだ未知の部分が多いものと言えるでしょう。

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