糖質の吸収 とうしつのきゅうしゅう
摂取後、糖質は消化器の各部で細分化され、最終的に小腸で単糖に分解された糖類は、分解されると同時に小腸の腸壁から血管へ移動し(吸収され)、門脈(※)を経由して肝臓にまで運ばれていきます。
※門脈とは、ふたつの毛細血管網に挟まれた血管を指します。一般的には、消化器を流れて栄養を吸収した血液が集まって、肝臓へと注ぎ込む部分の血管(肝門脈)を指します。
緊急に糖質が必要な場合には、血液でその組織にダイレクトに運搬されて使われることもあります。
分解された単糖は、細胞内へ取り込まれ(吸収され)ますが、このとき輸送担体(トランスポーター)と呼ばれる物質が必要となります。
その理由は、単糖のグルコース分子は極性(分子内に存在する電気的な偏り)を有するためで、極性を帯びたグルコースが細胞の生体膜を通過して内部に入り込むには、特別な膜輸送たんぱく質(=輸送担体)が必要不可欠なのです。
グルコースとガラクトースは「SGLT1(ナトリウム依存性グルコース輸送体)」により、Na+とともに細胞内に取り込まれます。
フルクトースは「GLUT5(非ナトリウムグルコース輸送体)」によって、細胞内に取り込まれます。
こうして細胞内に吸収された単糖は、次に「GLUT2(グルコーストランスポーター)」によって門脈循環へと輸送され、体全体(とくに肝臓)に運ばれます。
摂取する糖質の種類や体質にもよりますが、ご飯などの炭水化物に含まれている糖質を摂取した場合、体内で分解されてブドウ糖(グルコース)となり、吸収されるまでに1~2時間程度かかります。
なお、多糖類に属するセルロールなどの食物繊維は、ヒトの身体では分解・吸収することができないために、元の形状を保ったままで消化器官を通過して、そのまま体外へ排出されます。