

最高のロマネコンティから考える長寿の条件
ゴッドファーザーの古希祝いとロマネコンティ1985年
ピエールというニックネームを授けてくれた「ゴッドファーザー」とも言えるドクターの、古希祝いのワイン会に出席しました。
メインとして振る舞われたのは、ロマネコンティの中でも「特に素晴らしい」≒ 「特に高価」と称される1985年ヴィンテージです。
このワインは、乾燥した花やトリュフ、タバコ、少し土っぽいアロマが特徴で、繊細でありながら深い複雑性を持ち、非常に美しい仕上がりでした。
すべてのワインがこのように美しく熟成されるわけではないことはご存知の通り。そういう意味では、ワインの保管と人間のアンチエイジングには共通点が多いと感じます。
ワインと人間に共通する老化と保管環境
肉体は時間とともに老化(エイジング)しますが、適切なケアや栄養、環境によってその老化速度を遅らせ、活力を保つことができます。そのためにはなんと言ってもストレスを減らすことが一番大事。
人間にとってのストレスは、心理社会的なストレスや腸由来のストレス(グルテン不耐症や乳糖不耐症など)、そして喫煙やお酒の飲み過ぎ、不適切なライフスタイルが大きな要因ですが、ワインにとって避けるべき重要な要素は振動、熱、光、そして湿度が大きな要因となります。
- 振動:振動があると、ワイン内の成分が過度に動き、酵素や化学反応が早まり熟成が不均一に進みます。
- 熱:熱はワインにとって最も危険な要素の一つです。温度が高すぎるとワインの熟成が急激に進み、風味が劣化します。
- 光:紫外線はワインの化学反応を促進し、特に香りや味に悪影響を与えます。
- 湿度:湿度が低すぎるとコルクが乾燥し、空気が入り込むことで酸化が進み劣化につながります。
今回の1985年のロマネコンティは、ゴッドファーサーの自宅地下セラーで長期間動かされることなく保存されていたため、まさに理想的なコンディションで熟成されていました。
長寿研究から学ぶアンチエイジング
ところで私は現在、長寿研究の学会参加のためシンガポールに滞在しています。
学会では老化を止めるための遺伝子の観点からのNADについて(これを体内で増やすためにNMNを補充している方法があります)や老化の症状を治すためのホルモン補充療法、栄養療法のことなどを学びました。
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ