
五感で楽しむ、クレープ・シュゼット
レストランを彩る炎のデザート
新型コロナウイルスの影響で外出が難しくなる中、再びレストランに出かけて嬉しかったことの一つは、そこでしか味わえないデザートに出会えたことです。
自宅に持ち帰るケーキも素晴らしい進化を遂げていると思いますが、ワゴンでテーブルまで運ばれ、仕上げを目の前で行うアトラクションのようなサービスは、レストランならではの楽しみです。

今回いただいたのは「クレープ・シュゼット」です。クレープにオレンジソースをかけ、オレンジのリキュール「グラン・マニエ」でフランベする温かいデザートです。
今回は美しく剥かれたオレンジの皮にグラン・マニエを垂らしてソースに加える、ゴージャスなバージョンでした。
フランベすると、青い炎とともに部屋中に甘い香りが広がり、誰もが子どものようにわくわくしてしまう幸せな一皿です。
クレープ・シュゼットの歴史
日本では老舗ホテルのレストランなどで提供されることが多い、このフランス料理のデザートですが、実は発祥はモナコです。
19世紀にイギリスのエドワード皇太子がモンテカルロのレストランを訪れた際、今まで味わったことのないデザートを所望したことがきっかけだそうです。
お連れの女性がフランスの方だったため、料理人のアンリ・シャルパンティエは即興でクレープにフランスのコニャックを加えてフランベし、炎が上がっているままテーブルに供しました。
これに感動した皇太子が、料理にその女性の名前をつけるよう提案し、「クレープ・シュゼット」が生まれたということです。

作る様子を見るのも楽しみの一つですが、クレープのもっちりとした食感と、フランベによって香りを増したリキュールのほろ苦さも最高です。
つまり、クレープ・シュゼットは、デザートと食後酒の両方の役割を担っていると言えるでしょう。

〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ


