82年の余韻-バローロ1938 Fontanafredda-

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バローロ1938が語る時をまとう静けさ

人生の大先輩と、Fontanafreddaのバローロ1938を共にいただく、特別な時間。

1938年。
第二次世界大戦前夜に生まれたこのワインは、すでに82年という歳月を生き抜いています。

これだけの古酒だと注いだ後は色素が薄くても時間が経つにつれ色素を取り戻します。
82年という歳月を経たこの古酒は、グラスに注いだ瞬間こそ色素が薄く、儚げに見えました。

しかし、空気と触れ合ううちに、ゆっくりと深みを取り戻し、かすかな琥珀を帯びたガーネット色に。
まるで、長い眠りから目覚めて少しずつ記憶を取り戻していくようでした。

グラスに浮かぶ記憶と人生の重なり

味わいは驚くほど穏やか。
時間の重みを静かに語るような複雑さがありました。

今なお背筋が伸びたその姿に、このバローロの気品と静けさを感じたのです。

輝きは決して何時間も続いたわけではありませんでしたが、美しい景色を見せてくれました。

私もこんなふうに時を重ね、老いていきたい…
そう思わせてくれた、かけがえのない夜でした。

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ     

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