血糖調節 けっとうちょうせつ
食事で摂取した炭水化物(糖質)は、体内で分解されて、最終的にほとんどが単糖のグルコースになります。これが小腸壁から吸収され血液に入っていきます。
この血液中に含まれるグルコースを血糖といい、血液中の血糖の濃度を血糖値といいます。
健常なヒトの場合、空腹時血糖値はおよそ80~100mg/ dlで、食事をした直後は若干その値が高くなります。
血糖値は、血糖値を下げる「インスリン」と、血糖値を上げる働きのある「グルカゴン」「アドレナリン」「コルチゾール」「成長ホルモン」などのホルモンの働きで、非常に狭い範囲内で正常値に保たれています。
血糖値が高い場合
グルコースは体内でエネルギー源として非常に重要である一方、血中のグルコース濃度が高くなりすぎると糖化反応(※)を引き起こし、微小血管に障害を与えます。
そのため脳は、血糖値の監視を怠らず間脳にある視床下部で血糖値の変化を感じ取り、血糖値が高くなると視床下部から伸びる副交感神経が膵臓を刺激して、インスリンを分泌。これによってグルコースを高分子で血液に溶けださない多糖類のグリコーゲンに合成し血糖値を下げます。
※糖化反応:老化現象の主原因ともいわれている反応。体の中のたんぱく質と余分な糖が結びついてたんぱく質が変成し、劣化して「AGEs(糖化最終生成物)」という老化物質を生成する反応を言います。AGEsは分解されにくく、蓄積すると全身の老化を進行させ、体調不良のほか、糖尿病・高血圧・がんなどの引き金にもなります。体内の細い血管はとくに糖化反応によって細胞が死滅する可能性が高く、これが広がってしまうと生命を脅かしかねません。
血糖値が低い場合
反対に血糖値が低くなると、それを感じ取った視床下部が交感神経を経由して膵臓や副腎を刺激。それによってグリコーゲンをグルコースに分解する働きを活性化させるホルモンのグルカゴンやアドレナリンが分泌されて血糖値が上がるのです。
さらに視床下部は、脳下垂体に指示を出し「副腎皮質刺激ホルモン」を分泌させます。すると副腎から糖質コルチコイドが分泌され、たんぱく質を糖化させる新糖生の働きを促してグルコースを生成させ血糖値を上昇させます。