顎口虫 がくこうちゅう
特徴
顎口虫類は数多く、人体感染がみられるのは有棘(ゆうきょく)顎口虫、剛棘(ごうきょく)顎口虫、ドロレス顎口虫、日本顎口虫による感染がみられます。色は透明で内臓は乳白色です。有棘顎口虫はアジアの各地に分布します。日本では戦時中に中国大陸からライギョとともに輸入され、流行しました。剛棘顎口虫の終宿主は豚やいのししです。成虫は日本では発見されていませんが、輸入ドジョウから発見されています。成虫は赤みを帯びた太く短い寄生虫で長さ1~5cmほどです。1980年代以降には輸入されたドジョウの「踊り食い」で剛棘顎口虫に患った例が約100件報告されています。
感染経路
有棘顎口虫の成虫はネコ科動物に寄生し、成虫から産出された虫卵は糞便とともに水中に排出されます。
虫卵内の細胞が幼虫に発育し遊出します。第一中間宿主であるケンミジンコ類などに摂取され、次いで第二中間宿主である淡水魚(ライギョ、フナ、コイ、ドジョウ、ナマズなど)、両棲類、爬虫類、鳥類、哺乳類などに取り込まれ、筋肉内に寄生します。約1ヶ月で長さ3~4mmの幼虫になります。人は第二中間宿主を摂取することで感染します。
人の体内に入った幼虫は、胃壁を食い破って肝臓に達し、その後は体内を自由に動きまわり、身体の表面に近い部分に移動することにより皮膚に顎口虫特有の皮膚病変が現れます。
寄生場所
有棘顎口虫はライギョやナマズなどの内臓、剛棘顎口虫は輸入ドジョウ、ドロレス顎口虫はヤマメなどの渓流魚やマムシ、日本顎口虫は日本産ドジョウです。
原因食品
剛棘顎口虫は輸入ドジョウの踊り食いです。
第二中間宿主の生食によって感染します。
刺身などの生食です。(ライギョやフナが多いです)
主な症状と潜伏期間
顎口虫にとって人は終宿主ではないので、ほとんど成虫まで成長しません。そのため幼虫の形で皮下を這いまわり、痒みと痛みを伴ったミミズ腫れをつくります。
幼虫は眼や脳、肺などの臓器内に移行し、失明、てんかん様発作、血痰喀出(けったんかくしゅつ)を引き起こします。
特効的駆除薬がないため、治療は主に外科的な切除となります。
予防方法
淡水魚などの生食は避けます。(東南アジア諸国では高密度に分布しています。ライギョの刺身は特に危険です)
酢で調理しても死滅しません。