貧血の予防に摂りたい、鉄分豊富な「ミル貝(海松貝)」 みるがい
ミル貝の学名は「ミルクイ」で、バカガイ科の貝です。海藻の一種であるミルの繁茂している海底に多く棲息していることから、実際には餌にはしないものの「ミルを食う」貝とみなされ、この名がつけられたと言われています。
個性的な見た目のミル貝は水管が大きく発達していて、貝殻の中に引っ込めることができません。そのため貝殻がぴったりと閉じることはなく、常に貝殻が開いて大きな水管が飛び出した状態になっています。
味、食感が良く似たナミガイという貝を“白ミル貝”と呼ばれ、本家のミルクイを”本ミル貝”と言われています。 本ミル貝は漁獲量が激減したため幻の本ミルと言われてます。
ミル貝の旬は12月から4月です。日本産の本ミル貝は減少し今やアワビより高値がつくほどの超高級食材の一つとなっています。
栄養素
ミル貝は、アミノ酸の一種であるタウリン、ベタインを含んでいるので血液をサラサラにし高血圧の予防や脳内の血管を健康に保つのに役立ち良質なタンパク質も含む栄養満点の食材です。
タウリンは、アミノ酸の一種です。豊富に含まれますので肝機能を高め、血中コレステロールを抑制し血液をサラサラにしてくれます。
ベタインは、アミノ酸の一種です。肝臓の働きを活発にしてくれますので脂質のエネルギー代謝が良くなりコレステロールが低下します。
ミル貝の栄養成分(可食部 100g あたり)
・タンパク質・・・18.3g
・脂質・・・0.4g
・炭水化物・・・0.3g
・ビタミンB2・・・0.14mg
・ナイアシン・・・2.0mg
・パントテン酸・・・0.64mg
・ビタミンB6・・・0.05mg
・ビタミンB12・・・9.1㎍
・葉酸・・・13㎍
・ビタミンC・・・1mg
・ビタミンE・・・0.6mg
・カルシウム・・・55mg
・リン・・・160mg
・鉄・・・3.3mg
・マグネシウム・・・75mg
・カリウム・・・420mg
効能・効果
◆ナイアシン
ナイアシンはビタミンB3と言われる水溶性ビタミンの一種です。三大栄養素である糖質、脂質、タンパク質の代謝によりエネルギーをつくり出す過程で働く酵素を補助する必要不可欠なビタミンです。皮ふや粘膜の健康維持をサポートしたり脳神経を正常に働かせるのに役立ちます。
◆パントテン酸
パントテン酸はビタミンB5とも呼ばれ動植物食品に広く含まれ、体内でも合成することができるビタミンです。 血中の善玉コレステロール(HDL)、ホルモン、免疫抗体などを合成し、動脈硬化を予防しストレスをやわらげ、皮ふや粘膜の健康維持に役立ちます。
◆ビタミンB6
ビタミンB6は水溶性ビタミンの一種でタンパク質を体内でエネルギーに変えてくれます。筋肉や血液などがつくられたりする時に重要な働きをします。皮ふ炎を予防することから発見されたビタミンで皮ふや粘膜の健康維持にも役立っています。ビタミンB6は私たちの体内の腸内細菌からも一部つくられます。
◆葉酸
葉酸は貧血を予防する物質として発見されました。細胞の生まれ変わりや、新しい赤血球をつくり出すために欠かせないビタミンです。特に、細胞増殖が盛んな胎児の正常な発育のために必要な成分です。葉酸が不足すると貧血になったり、妊娠初期の女性の胎児に影響を及ぼし、神経管閉鎖障害の危険が高まります。
◆リン
リンは、人間のからだで骨や歯を構成する必須ミネラルです。リンは体内のミネラルの中でカルシウムの次に多いミネラルです。体内のリンはその約80%がカルシウムやマグネシウムとともに骨や歯をつくる成分になります。残りの約20%は筋肉、脳、神経などの様々な組織に含まれ、エネルギー代謝や脂質代謝などにおいて重要な役割を担っています。
◆鉄
鉄は必須ミネラルのひとつで赤血球を構成する成分です。全身の細胞や組織に酸素を運ぶ働きをしています。肺で取り込んだ酸素を全身の細胞や組織に運ぶ重要な役割をしています。鉄は細胞に酸素と栄養を届けるヘモグロビンにとって大切なミネラルなのです。
◆マグネシウム
マグネシウムは体内で約300種類以上もの酵素の働きをサポートします。カルシウムと密接な関係があり、骨や歯の形成に必要な栄養素です。また、三大栄養素である炭水化物 、脂質、タンパク質の代謝により、エネルギーをつくり出す過程で酵素が必要になりますが、マグネシウムは酵素が働くために必要不可欠なミネラルなのです。
◆カリウム
カリウムは体内のほとんどの細胞の中に存在し、ナトリウムとバランスをとりながら高血圧を防いでくれます。カリウムの働きでナトリウムはカリウムと共に汗や尿として排出され高血圧を防いでくれます。食事でのカリウムの摂取は大変重要です。
栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法
ミル貝を食用として利用するのは主に水管部分です。水管を開いて湯通して表面の硬い皮を剥いでお寿司や刺身にします。ヒモや内臓、貝柱などは煮物、天ぷら、炒め物、スープの具材などにして無駄にすることなく使い切ることができます。
ミル貝の保存方法は冷蔵庫(-10℃以下)ですが、できるだけ新鮮なうちにいただくのが良いでしょう。
冷凍保存する場合は、生きているうちに処理することが重要です。保存可能な部位は水管、貝ヒモ、貝柱、・身(ミル舌)」です。