イシペディア > 食事学と医療の大辞典 > 食材の大事典 > 調味料の栄養素分析 > 老化の進行を遅らせる「バルサミコ酢」

老化の進行を遅らせる「バルサミコ酢」 ばるさみこす

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

    バルサミコ酢は、イタリアのモデナ地区とレッジョ・エミリア地区で11世紀からつくられているブドウからなる果実酢です。

    バルサミコ酢の起源は古代ローマ帝国までさかのぼります。バルサミコ酢は健康や若返りという意味の「balsamic」が語源とされ、古くからイタリア人は鎮痛剤、媚薬、強壮剤といった薬として使われていたと言われています。

    バルサミコは元々“高貴な酢”と呼ばれており、モデナを中心とする一帯で造られ貴族の間で愛用されていました。国王への贈答品にも使われ、11世紀神聖ローマ皇帝ハインリヒ3世はローマ教皇クレメンス2世の戴冠式に、この“高貴な酢”の最上品を所望したと記録が残されています。
    中世後期にはペストの治療薬として用いられ、ルネサンス時代には一帯を治めていたフェラーラのエステ家に嫁いだ美貌のルクレツィア・ボルジアは飲む美容液としてバルサミコを愛飲していたとも言われています。

    Castle Estense
    フェラーラのエステンセ城を居城としたエステ家が、バルサミコをヨーロッパ中に広めた。

    DOP(原産地保護呼称制度)認定のバルサミコは、モデナとレッジョ・エミリアという北イタリアの街で伝統的な製法で造られたものだけです。正式にはアチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレと表記され、その下に産地の名がつきます。容器の形と容量も法律で決まっていて、12年以上熟成させたアッフィナートと25年以上熟成させたエクストラヴェッキオがあります。

    バルサミコ酢に旬はありません。

    栄養素

    バルサミコ酢はお酢の中でも非揮発性有機酸と糖質、アミノ酸、カリウムなどのミネラルが豊富です。

    バルサミコ酢に含まれているのはブドウ由来のポリフェノールです。ポリフェノールが持つ強い抗酸化作用の働きで血液の流れをよくしてくれるmpで、脳血栓や動脈硬化の予防に期待されています。また、コレステロールを抑制してくれるので高血圧など生活習慣病の予防に効果があるといわれています。

    バルサミコ酢にはぶどうの茎や種に含まれるポリフェノールの一種、レスベラトロールが豊富です。レスベラトロールは長寿の遺伝子を目覚めさせる栄養素と言われています。

    バルサミコ酢の栄養成分(大さじ1杯 15gあたり)

    ・エネルギー ・・・17 kcal
    タンパク質 ・・・0.1g
    炭水化物 ・・・2.9g
    糖質 ・・・2.9g
    カリウム ・・・21mg
    カルシウム ・・・3mg
    マグネシウム ・・・2mg
    ・・・0.1mg
    ビタミンB6 ・・・0.01mg

    効能・効果

    ポリフェノール

    ポリフェノールの効果で生活習慣病の予防が期待できます。そのほかにも肌質改善や美肌効果、抗がん作用や血栓予防、アンチエイジングにも効果があると言われています。ポリフェノールは血管壁の通過性を良くする作用もあるため動脈効果を予防に役立てられます。バルサミコ酢のポリフェノールは黒酢の3倍と言われます。

    ビタミン

    ビタミンにはからだのバランスを整え、細胞を活性化する効果があります。また、ビタミンは貧血を予防しコレステロールを減らす効果も期待されます。

    クロム

    バルサミコ酢には複数のミネラルが含有しています。中でもクロムは血圧、コレステロールを下げる効果があるとされており、からだ全体の代謝を良くしてくれます。同時に血糖値のバランスも保つ効果もあります。

    カリウム

    カリウムを摂取することで身体機能を維持する効果があります。カリウムは細胞を元気にさせ、酵素を調整する効果があるので心身の不調を取り除きます。

    モリブデン

    モリブデンは、ほかの食材でも多くは摂れないミネラルの一種です。モリブデンの効果は貧血予防、脂肪の代謝、疲労回復に有効です。

    タンニン酸

    タンニン酸は、整腸効果が期待できます。腸の動きを活発にしてきれいにする働きがあるため肌荒れの改善や美肌効果が期待できるでしょう。バルサミコ酢を摂取し続けるとハリのある肌になるとも言われています。また、タンニン酸は動脈硬化を防ぐ作用もあります。

    東洋医学的側面

    ・寒熱:微温(やや穏やかに体を温める)
    ・昇降・収散・潤燥:収(気や熱を昇させる)
    ・臓腑:肝、胃
    ・五味:酸(免疫力を高める作用)・苦(気を降ろす、固める作用)・甘(補い滋養する作用)
    ・毒性:なし

    淤血(血が汚れている)に効果的
    血を増やす補血作用
    肝に働きかけ消化不良に良い

    栄養素を上手に摂るための保存方法と調理方法

    バルサミコ酢はサラダのドレッシングやソースなどにおすすめです。前菜からメイン料理、デザートまでをワンランクアップさせる万能調味料です。フルーツとの相性も良く、特にいちごとの組み合わせは定番です。

    バルサミコ酢は加熱をすると酸が蒸発し甘みが増します。バルサミコ酢、塩、胡椒、バターなどを加えて煮詰めるだけで甘酸っぱい本格的なソースに仕上がります。

     

    【監修】 大友博之 渋谷セントラルクリニック エグゼクティブ ディレクター

    関連するカテゴリ

    関連する記事はこちら