
ロマネ・コンティの葡萄の個性を凝縮した芸術品 〜フィーヌとマールの世界〜
葡萄の生命を閉じ込めた一杯に秘められた物語
フィーヌもマールも共にブランデーに属します。
しかし、その生まれ方はまったく異なり、そこに宿る個性も大きく違います。
ブドウの絞りかすから作る”マール”と、葡萄そのものを蒸留させる”フィーヌ”。
この違いは、単なる製法の差ではありません。
それは、葡萄の「どの部分の生命を抽出するか」という思想の違いでもあります。
マールはワインの製造過程で出るブドウの絞りかすを蒸留して作られるのに対し、フィーヌはブドウそのものを蒸留して造られます。
この違いが味わいや香りの個性に大きな影響を与えます。
興味深いことに、赤ワインと同様にブランデーにもポリフェノールが含まれており、抗酸化作用やホルモン促進作用などの健康効果も期待されています。ワイン好きにとっては、フィーヌやマールの楽しみが味わいだけでなく健康面にも広がるのは嬉しいポイントでしょう。

1979年ブルゴーニュの天災がもたらした奇跡のフィーヌ
話は戻りますが、特にブドウの個性がより現れるのが、フィーヌです。
ワインが「土地と年を語る存在」だとすれば、
フィーヌは「葡萄そのものの生命を語る存在」と言えるかもしれません。
1979年、ブルゴーニュ地方は激しい雹害に見舞われ、名高いロマネコンティでも、瓶詰めするワインの量を厳しく制限して、瓶詰めできなかった残りのワインを蒸留に回しました。
そこで残されたワインは、蒸留に回されました。
それが、1979年のフィーヌです。
天災というアクシデントが生んだ例年よりもさらに素晴らしいフィーヌ。
その美しさはまさに芸術!
フィーヌの世界は、ただの酒の枠を超え、まるでひとつの芸術作品を味わうかのような体験を提供してくれました。

〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ


