炭水化物 たんすいかぶつ
栄養素を大きく分けると、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの5つとなり、これを5大栄養素と呼びます。このうち、タンパク質、脂質、炭水化物の3つを3大栄養素といます。
炭水化物は、体を動かすエネルギーとなる“糖質”と体に消化・吸収されにくい“食物繊維”に分けられます。炭水化物とは糖質のことだと誤解されることが多いのですが、炭水化物には糖質(消化性炭水化物)と食物繊維(難消化性炭水化物)が含まれます。
ただし、一般的には炭水化物といえば、糖質のことを指し、食物繊維は5大栄養素以外の機能性成分として区別されることもあります。
生理作用
炭水化物のうち、糖質は体内で消化吸収され、体を動かすエネルギー源となるブドウ糖に分解されます。ブドウ糖は血液を通して全身に運ばれ、脳や筋肉、細胞などを動かすエネルギーとして使われます。糖質1gには4kcalのエネルギーがあります。
一方、食物繊維は消化吸収されにくく、エネルギーとしてはほとんど使われません。しかし、食物繊維は便のかさを増やしたり、腸を刺激したりすることで排便を促すなど便秘の解消に役立ちます。
また、海藻類などに含まれる水溶性食物繊維はコレステロールの吸収を抑え、体外に排出しやすくする効果などが注目されています。
過剰・欠乏症状
炭水化物のうち糖質は、摂り過ぎが続けば、肥満や生活習慣病の原因になります。糖質が不足してもタンパク質や脂肪が分解されエネルギーとなるため、一時的であれば、欠乏しても体に特に影響はありません。
ただし、炭水化物が不足した状態で、タンパク質の消費が過剰になると、筋肉が衰えるなどの悪影響が起こります。
また、食物繊維が不足すると便秘が起こりやすくなったり、腸内環境が悪化したりすることがあります。
炭水化物の一日当たりの摂取基準(単位:%エネルギー ※)
・成人男性……50~65(1日の総摂取カロリーのうち、50~65%を炭水化物で摂る)
・成人女性……50~65
・摂取上限……上限はありませんが、取り過ぎても不足してもいけません。
※%エネルギーとは一日に摂取する総エネルギーに占める割合。エネルギーは炭水化物の他にもタンパク質や脂質、アルコールなどからも作られるため。
炭水化物を多く含む食品(食材100g当たりの含有量)
糖質は砂糖、穀類、砂糖と穀類を使ったお菓子などに多く含まれます。
・砂糖(上白糖)……99.2g
・飴……97.5g
・精白米(生)……77.1g(炊いた場合 37.1g)
・玄米生(生)……73.8g(炊いた場合 35.6g)
・スパゲッティ(パスタ)乾燥……77.2g(茹でた場合 28.4g)
・小麦粉……71.6g
・さつまいも(焼いた場合)……39.0g
・かぼちゃ(茹でた場合)……21.3g
・バナナ……78.5g
・大福もち……52.8g
・餅……50.3g
・いちごジャム……48.4g
・水ようかん……40.0g
・ホットケーキ……45.4g
炭水化物の上手な摂取方法
・炭水化物をエネルギーに変換するには、特にビタミンB1が必要となります。ビタミンB1は、豚モモ肉、豚ヒレ肉、うなぎ、タラコ、しらす、ひじき、大豆、玄米などに多く含まれます。ビタミンB1を多く含む食材を食べるようにしましょう。
・キュウリや大根、人参、ナスなど野菜を糠みそに漬けると、糠みそに含まれるビタミンB1が野菜に吸収され、ビタミンB1の含有率がおよそ7倍に増加します。ごはんとぬか漬けの組み合わせは炭水化物の代謝を促進します。
・白米より玄米や胚芽米にはビタミンB2が多く含まれています。糖質から効率よくエネルギーを作り出すには、白米より玄米や胚芽米がお勧めです。
・炭水化物(糖質)は摂り過ぎると、肥満や糖尿病など生活習慣病、動脈硬化、虫歯などの原因となります。摂取カロリーをコントロールしながら、食べ過ぎに注意しましょう。