リン りん
リンは歯や骨を作る材料となり、エネルギー代謝など細胞の生命活動に不可欠な栄養素です。普段の食生活で不足することは少なく、むしろ過剰摂取に注意が必要です。
生理作用
リンはカルシウムに次いで体内に多く含まれているミネラルです。成人の体内には約1%(500~700g)のリンが含まれており、そのうちおよそ80%はカルシウムと共に骨や歯を構成する材料として使われます。
また、リンは細胞のエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)を構成する成分で、糖質、脂質、タンパク質の代謝に関わっています。
その他にも、細胞膜や核酸の材料となったり、Ph(酸性、アルカリ性)や細胞の浸透圧を調整したりする働きをしています。
過剰・欠乏症状
リンとカルシウムは血液中でバランスを保ちながら働いています。リンを過剰に摂取すると血液中のリンの濃度が上昇し、骨に含まれているカルシウムが血液中に溶け出すため、骨が脆くなり、骨粗しょう症などを引き起こす原因となります。
また、リンの過剰摂取により、腎機能の低下、甲状腺機能の異常、動脈硬化などを引き起こす場合があります。
リンはさまざまな食品に幅広く含まれるため、通常の食生活において不足することはまずありません。仮にリンが不足した場合は骨が脆くなります。また、リンは加工食品などの食品添加物に含まれていることが多く、過剰摂取することのないように注意が必要です。
一日の摂取基準(成人男性、成人女性、摂取上限)
・成人男性……1,000㎎
・成人女性……900㎎
・摂取上限……3,000㎎
リンを多く含む食品(食材100g当たりの含有量)
・煮干し……1500㎎
・高野豆腐(乾燥)……880㎎
・しらす干し(半乾燥)……860㎎
・プロセスチーズ……730㎎
・いわし(丸干し)……570㎎
・卵(卵黄)……570㎎
・ししゃも……360㎎
・豚レバー……340㎎
・マグロ(メバチマグロ)……330
・アジ(焼いたもの)……320㎎
リンの上手な摂取方法
リンはカルシウムと1:2のバランスで摂取するのが良いとされています。むしろ現代人に不足しがちなカルシウムの摂取量を増やすことでリンの利用が促進され、骨や歯の形成、骨粗しょう症の予防などにつながります。
リンは肉、魚、乳製品など幅広い食材に含まれています。好き嫌いなく、バランスのとれた食生活を心掛けましょう。
リンはインスタント食品、スナック菓子、清涼飲料水などに食品添加物「リン酸塩」「ピロリン酸」「ポリリン酸」として多く含まれています。加工食品やインスタント食品の利用が多い人は摂り過ぎに注意しましょう。