パレオダイエット ぱれおだいえっと

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

定義

パレオダイエット(Paleolithic diet)は、1970代にアメリカの消化器病専門医ウォルター・L・ボーグトリン氏によって提唱された、旧石器時代(Paleolithic)の野草の採取や野生動物の狩猟による食生活に立ち返ることをコンセプトにした食事法です。狩猟採集食、原始人食ともいわれます。アメリカではハリウッドのセレブやオリンピックのメダリストたちが実践し、成果をあげたことなどが注目され、繰り返しブームとなっています。日本では生活習慣病の予防やリバウンドしないダイエット法としても関心が高まっています。

パレオダイエットの理論

パレオダイエットでは、人間の遺伝学的性質は農耕や牧畜が発達する以前の旧石器時代から本質的には変わっておらず、当時の食生活は人間の体を健康に保つ理想的な食事であると考えます。また、採集と狩猟が中心の旧石器時代には、肥満や生活習慣病などがほとんど存在せず、現代のように人工的に作られた食糧を大量に摂取することがさまざまな病気の原因となっている、と考えることもパレオダイエットの有効性を示す根拠の一つとなっています。

パレオダイエットの実践

パレオダイエットは原始的な食生活を真似ることがコンセプトです。そのため、食材は人の手が加わる程度や加工の度合いによって、食べて良いものと食べてはいけないものを区別しています。

【食べて良い食材】
・肉類……牛肉の赤身、放牧の豚肉・羊肉、放し飼いの鶏肉、ジビエ(野獣・野鳥)
・魚類……養殖以外の近海魚、川魚(鮎、鯉、ドジョウなど)
・野菜……農薬や化学肥料を使っていない有機野菜、山菜、キノコ類、野草
・果物……ハウス栽培されていない果物、比較的糖分が少ない果物
・穀物……玄米、ナッツ類、納豆
・その他……海藻類

【食べてはいけない食材】
・肉類……脂肪分の多い牛肉、大量飼育された豚肉・鶏肉、ハムやソーセージなど加工品
・魚類……養殖の魚
・野菜……農薬や化学肥料などを使った野菜、ハウス栽培の野菜
・果物……ハウス栽培の果物、糖分が多い果物
・穀物類……白米、小麦・大麦・ライ麦(パン、パスタ、ラーメンなど)、そば、うどん
・その他……缶詰、サラダ油、バター・マーガリン、調味料(特に砂糖や化学調味料)

食べ方の要点・注意点

・肉類は脂分の少ない赤身肉を中心に食べます。人工的な飼料ではなく、放牧され野草などを食べて育った家畜が望ましいです。ハムやソーセージ、ベーコンなど加工品は食べません。また、霜降り肉など旧石器時代には存在しない肉を食べてはいけません。ジビエは高たんぱく・低脂肪なのでパレオダイエットに適しています。
・魚介類は養殖のものは避け、比較的近海で採れたものを食べます。遠洋で獲れるマグロやカニなどの魚は控えます。海藻はミネラルや食物繊維が豊富なので積極的に食べます。
・野菜は有機野菜(オーガニック)を選んで食べます。地産地消が望ましいでしょう。果物は品種改良され、人工的に糖分を多くしたものは避けます。また、ハウス栽培されたものは避け、季節感のある果物を食べましょう。
・旧石器時代には農耕も十分に発達していないため、穀物は小麦粉などを使うパンやパスタ、シリアルなどは一切摂りません。そばやうどんも控えます。また、白米ではなく玄米であれば、少量摂っても構いません。
・基本的に調味料や油は使いません。食材に含まれる自然の味と油分で十分だと考えましょう。もし、どうしても味気ない場合は、塩や酢、レモン汁、オリーブオイルなどを少量使いましょう。
・パレオダイエットでは1日3食(朝・昼・晩)という現代的な食習慣を守る必要はありません。「食べたいときに食べる」・「食べたくなければ食べない」という本能的な食欲を重視します。
・食材を厳選しているため食べる量は自由ですが、食べ過ぎればダイエットや健康への効果は半減します。特に果物の摂り過ぎには注意が必要です。
・パレオダイエットはあくまでも健康法の一つであり、病気の治療
・パレオダイエットは始めてから3週間ほどで味覚や食事量に慣れるといわれています。まずは3週間を目標にチャレンジしてみましょう。もちろん無理をしてはいけません。少しずつ、体を慣れさせながら継続して下さい。また、睡眠は7時間以上、十分にとるように下さい。

パレオダイエットの効果

パレオダイエットを実践することにより、次のような効果があると考えられます。

・必要最小限の摂取カロリーと栄養素が補給され、高いダイエット効果が期待できる。また、余分な脂肪が減少し、本来の体形を維持できる。
・肥満細胞が縮小し、アディポネクチンなど善玉ホルモンの分泌が促進する。ダイエット効果が促進するとともに生活習慣病の予防にもつながる。
・コーン油やサラダ油などオメガ6脂肪酸を控え、魚に含まれるオメガ3脂肪酸の摂取量が増えることで、血液がサラサラになるとともに高脂血症や動脈硬化を予防する。
・糖質と脂質を抑えることで血糖値の上昇が抑制され、高血糖、糖尿病の予防効果がある。
・風邪を引きにくくなるなど免疫力が向上する。病気になりにくい健康的な体質に変わる。
・小麦など穀物に含まれるレクチンを控えることでアレルギー症状や自己免疫疾患に改善が期待できる。また、腸内環境か改善し便通が良くなる。アトピーが改善した例がある。
・精神安定効果、抑うつ症状の改善効果が見られる。

注意点

・パレオダイエットはあくまでも健康法の一つであり、病気の治療を目的とするものではありません。

・パレオダイエットは断食に順ずる食事法のため、体調管理を十分に行い、決して無理をせずに行って下さい。、
・医師の治療を受けている場合や、医薬品などを服用している場合は、必ず医師又は薬剤師に相談した上で始めて下さい。また、体調に異変を感じた場合などはすぐに中止し、医師の診察を受けてください。

関連するカテゴリ

おすすめ記事

関連する記事はこちら