ビオチン びおちん

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 ビオチンとは

ビオチンは酵母の成長を促す成分として研究が始まり、その成分ビオス(bios)からその名称が付けられました。また、ビオチンはビタミンB群の一種であることから「ビタミンB7」、皮膚の炎症を予防に関与することから、ドイツ語の皮膚(Haut)という単語の頭文字をとって「ビタミンH」、さらに補酵素としても働くため「補酵素R」など、他にもさまざまな名称をもっています。ビオチンは腸内細菌によっても合成されますが、食品中ではたんぱく質と結びついて存在しており、消化の過程で分離され吸収されます。

ビオチンの働き

ビオチンには、摂取した食品中の糖質やたんぱく質、脂質が体内でエネルギーになる代謝に関わる、カルボキシラーゼという酵素の働きを補酵素として助けます。またビオチンは、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー反応を引き起こす化学物質であるヒスタミンの元となる、ヒスチジンを体外に排出する働きをすることから、アトピー性皮膚炎の治療に用いられることも多いようです。また皮膚の毛細血管を太くして血流を上げるため、頭皮の調子を整えて毛髪の発育を高める効果が期待できます。

ビオチンの摂取量

ビオチンの1日の摂取の目安量は、18歳以上の男女とも50μgとしています(日本人の食事摂取基準2015年版)水溶性ビタミンであることから、過剰に摂取しても尿中に排泄されることと、過剰摂取による健康被害が報告されていないため、摂取量の上限は設定されていません。

多く含まれる食品

レバーや卵黄、ししゃもやアサリなどの魚介類、しいたけやまいたけ、マッシュルームなどのキノコ類、ピーナッツやアーモンドなどの種実類、大豆や納豆、小豆などの豆類に多く含まれています。調理による損失については、ビオチンは水溶性の性質をもっているものの、食品中ではたんぱく質と結合した形で存在しているため、水に溶け出しにくい状態になっています。

欠乏について

ビオチンは、さまざまな食品に含まれ腸内細菌によっても合成されるため、通常は不足による欠乏症が現れることはまずありません。しかし、遺伝的に体内でビオチンを再生し再利用するための酵素や、ビオチンを活性化する酵素が欠損している場合や、長期間の下痢などで腸内細菌が変化し産生量が少なくなった場合などには不足が起こる可能性があります。

また過度の偏食や、生の卵白を多量に摂取すると欠乏症が現れることがあります。これは、生の卵白に含まれるアビジンというたんぱく質の一種が、腸管内でビオチンと結合してしまうことによります。その結果として腸管からのビオチンの吸収が妨げられるのです。

他にもビオチンは、糖質の代謝に必要なピルビン酸カルボキシラーゼという酵素の補酵素ととして働きます。ビオチンが不足し、ピルビン酸カルボキシラーゼの働きに支障が出ると、糖質の代謝が正常に行われず、体内に乳酸が蓄積して血液が酸性になる「乳酸アシドーシス」を引き起こします。欠乏による主な症状は皮膚炎ですが、舌炎、食欲不振、吐き気、憂鬱感、白髪などさまざまな症状もあります。

またビオチンの不足によって、リウマチ、シェーグレン症候群、クローン病などの免疫に関する疾患や、インスリンの分泌が低下することによる1型および2型の糖尿病のリスクが高まるともいわれています。

過剰摂取について

   ビオチンは、水溶性で体内に蓄積されることがほとんどないため、食事から摂りすぎる心配はありません。今のところ過剰摂取による健康被害の報告もなく、遺伝的なビオチン欠乏患者に対する大量な経口投与や、アトピー性皮膚炎の治療薬としての使用などにおける健康障害もありません。

 参考文献

  •   「あたらしい栄養学」 吉田企世子・松田早苗 監修 (高橋書店)
  • 「栄養素の通になる」 上西一弘 (女子栄養大学出版部)

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