料理の世界における伝承と、その美しさ

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技術とともに受け継がれるもの

医療でも料理でも、継承されるのは技術だけではありません。
そのことをあらためて実感したのが、六本木に佇む隠れ家のようなレストラン「感情」への訪問でした。

ひと皿ごとに香りと温度のグラデーションが設計され、鴨料理へと至るまでの流れ。
日本刀と同じ玉鋼で作られた鍋で焼き上げられる料理は、立ち上る香り、響く音、無駄のない手さばき、そのすべてが美しかったです。

鴨肉には良質な脂肪酸とが多く、末梢の血流を整えてくれる、まさに食べる養生なのです。

料理の世界における伝承

この日、あらためて感じたのは「料理の伝承」ということ
知識や技術だけでなく、お客さまへの向き合い方、心の所作までも受け継がれていくんだなということでした。

「感情」のシェフは、祖父が寿司職人、父がフレンチ、兄が蕎麦職人という料理一家の出身だそうです。

医師や政治家の世界では、二世・三世という立場が否定的に語られることもありますが、料理の世界では、代を重ねることで技と心が磨かれていきます。その継承の美しさを、久しぶりに強く感じました。

この日のワインとシャンパーニュは、エグリ=ウーリエ Les Crayères でした。
きめ細やかな泡が静かに立ち上り、コースの始まりにほどよい緊張感を添えていました。

白はパカレのムルソー、赤はミュニエ Clos de la Maréchale 2013のマグナム。

時間の経過とともに香りが変化し、料理と対話しているかのような一体感が生まれていました。

六本木「感情」
東京都港区六本木4丁目12−5 3f

 

〔大友“ピエール” 博之〕

日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。

・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員

・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
 シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ  

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