

カワハギと肝ソースに合うお酒の新たな定番 テキスト校正済
カワハギと肝ソースに合う辛口日本酒の条件
晩秋から冬にかけて旬を迎えるカワハギ。
特に冬に備えて餌を多く食べ肝が太る晩秋が旬のピークとなるカワハギに、どのお酒を合わせるかは食べる側の楽しみでもあります。
一般的にはカワハギには辛口の日本酒が定番とされています。その理由は、
- 脂質がわずか0.1%と淡白なカワハギの身の風味を損なわないこと
- 「海のフォアグラ」ともいわれるほど濃厚なカワハギの肝の味わいをすっきりと洗い流してくれる
つまり、お酒そのものが主張しすぎず、料理と一体になるようなバランスが求められるのです。
日本酒の「辛口」とはよく言いますが、その指標は次の3つで語られることが多いです。
- 日本酒度:お酒の中の糖分の量が少ない方が辛口
- 酸度:酸っぱさが際立つ方が辛口
- アミノ酸度:旨み成分が低い方が辛口
つまり、糖分が少なく酸味があり、アミノ酸度が低い日本酒がカワハギに合うということになります。
(日本酒詳しくないので違ったらご指摘をお願いします)
シャンパーニュとの意外な好相性
では、この辛口日本酒の特徴を、ワインに置き換えると、どんなタイプが合うのでしょうか?
- 糖分が少ないワイン:アルコール度数があまり高くなくて、砂糖を足していないもの
- 酸度が高いワイン:土壌が石灰質のところでできる、いわゆるミネラリティーが高いもの
- アミノ酸度:熟成していない、オリがないワイン。つまり古いビンテージの赤ワインの真逆ということになる
私の好みで語るならば、この条件を満たすワインとして、ブラン・ド・ブラン(シャルドネ100%)の熟成していないシャンパーニュが挙げられます。
シャンパーニュの最大の特徴はその地層にあり、石灰質の土壌が広がっているため酸が非常に高いのです。
また、石灰質土壌の地域ではシャルドネシャルドネ単一で造られる「ブラン・ド・ブラン」タイプのシャンパーニュが多く、結果としてアミノ酸度も低くなり、辛口日本酒と同じ条件を満たします。
さらに、シャンパーニュは発酵が終わったワインにリキュールや砂糖を加える「ドサージュ」という工程がありますので、補糖を行わないもの(ノン・ドサージュ)や補糖が少ないドライなものを選ぶのが望ましいです。
「カワハギと合うワイン選びのポイント」のまとめとしてはこちらです。
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シャンパーニュ
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白ブドウ比率が高い(シャルドネ100%が望ましい)
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ドサージュ少なめ
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熟成していない、若いヴィンテージを低めの温度で
実際に相性を確かめるために選んだのは、ジャック・セロスというシャンパーニュでしたが、非常に良い相性で驚きました。
今回は特別な銘柄を選びましたが、辛口日本酒に合う料理に合わせるなら、シャンパーニュの銘柄にこだわらずとも条件を満たすものであれば十分です。
そんな新しい発見もまた、食の楽しみの一つではないでしょうか。
串かんざし 久
京都府京都市中京区下樵木町191−9
〔大友“ピエール” 博之〕
日本のみならずロサンゼルス、フランクフルト、香港、バンコクに拠点を持ち、個別化医療(precision medicine)を実践している。免疫栄養学に基づいた食事指導、ホルモン補充療法、運動療法を取り入れた治療で定評がある。
・ 医師 日本抗加齢医学会専門医 / 欧州抗加齢医学会専門医 / 日本麻酔科学会専門医
・ 西洋薬膳研究家、シェフドクターピエールとしても活躍中
・ 渋谷セントラルクリニック代表
・ 一般財団法人 日本いたみ財団 教育委員
・ 一般社団法人食の拠点推進機構 評価認証委員/食のプロフェッショナル委員
・ 料理芸術や食の楽しみといった価値感を共有するシェフなどが集う日本ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会のオフィシエ
・ ワインにも造詣が深く、フランスの主要産地から名誉ある騎士号を叙任している。
シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ / ボルドーワイン騎士団 コマンドリー /ブルゴーニュワイン騎士団 シュヴァリエ