栄養素の代謝 えいようそのたいしゃ

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肝臓は暗赤色をした人体で最も大きな臓器で、横隔膜のすぐ下、右上腹部にあります。肝臓は右葉と左葉に大きく分けることができます。ちなみに右葉のすぐ下には胆嚢が位置しています。肝臓につながる血管は、肝動脈と肝静脈と門脈があり、門脈は小腸で吸収した栄養を肝臓まで運びます。胆汁は胆管を通じて肝臓から十二指腸へとつながります。

肝臓の働きですが、腸で吸収された栄養素を代謝して、体内に貯蔵します。そのため肝臓は「人体の化学工場」と呼ばれたり、「貯蔵庫」にたとえられたりすることもあります。

肝臓には約2000種類以上の酵素があり、酵素の力によって数多くの化学変異が起きています。そして胆汁の生成や分泌、体内の毒素を解毒や排泄(体外に捨てること)を行います。肝臓は、生命の維持に欠かすことのできない仕事を黙々と続けていることから「沈黙の臓器」とも呼ばれることもあります。

肝臓の機能は大きく分けて3つに分類することができます。

・栄養素の代謝、貯蔵
・胆汁の生成
・解毒

栄養素の代謝

人体は食べ物から栄養を吸収しますが、栄養素をそのまま利用することはできません。吸収された栄養素を、さらにそれを別の成分に替えて体内に貯蔵します。そして必要な時に、その栄養素を分解してエネルギーを生み出します。肝臓は糖代謝、アミノ酸代謝、血清アルブミン合成、血液凝固因子の合成、脂肪酸やコレステロールなどの合成を行っています。また肝臓ではグリコーゲン、ビタミンA・ ビタミンB12・ 鉄などの貯蔵を行っています。

糖の代謝

血液中のグルコース濃度に応じて、血液中のグルコースをグリコーゲンとして貯蔵したり、貯蔵したグリコーゲンをグルコースに変換し、血液中へ放出したりしています。また、筋肉などから血流にのって運ばれてきた乳酸からのグルコースの再合成(コリ回路)にも寄与しています。

脂質の代謝

脂質を分解しエネルギーを作り出しています。
コレステロールはステロイドホルモンである性ホルモンや副腎皮質ホルモンの原料となっています。コレステロールの大部分は肝臓で合成されています。

アミノ酸の代謝

アミノ酸からアルブミンやフィブリノゲンなどの血漿タンパク質を合成しています。

鉄吸収の調整

ヘプシジンは肝臓で産生される一種のペプチドホルモンであり、鉄の代謝を制御しています。ヘプシジンは腸からの鉄の過剰な吸収を抑制する作用があるので、ヘプシジンを産生することが出来なくなると鉄の過剰症を引き起こす可能性があります。

他に以下の作用があります。

・アンモニアを尿素へ変換
・薬物代謝およびアルコール代謝
・ケトン体の合成(飢餓時などグルコース枯渇時の代替エネルギー源)。
・エストロゲン(女性ホルモン)のコントロール。男性の場合、女性ホルモンを取り除く。

胆汁の生成

食物の消化を助ける胆汁酸を生成し、胆管・胆嚢から十二指腸に胆汁として分泌しています。

(ヘムの分解物である間接ビリルビンをグルクロン酸抱合により直接ビリルビンにして胆汁として分泌)

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