生理活性脂質 せいりかっせいししつ

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生理活性脂質とは、生体になんらかの作用を引き起こすような脂質のことを指し、脂質メディエーターとも呼ばれます。生理活性脂質は、その構造によって大きく3つに分けられます。

①脂肪酸由来の場合
代表的な脂肪酸由来の生理活性脂質には、プロスタグランジンやトロンボキサン、ロイコトリエンなどが挙げられます。これらはそれぞれが似た構造を持つ物質のグループの総称です。特にプロスタグランジンは重要な物質で、様々な作用を持っています。プロスタグランジンは痛みや炎症などの“不快なシグナル”を増強する作用があり、体に危機が迫った時には生体内のあらゆる細胞を原料にして作られます。その他、血管を拡張したり、睡眠を誘発したりする働きがあります。

②リン脂質構造を持つ場合
代表的なリン脂質構造を持つ生理活性脂質には、血小板活性因子、内因性カンナビノイドなどが挙げられます。カンナビノイドとは、麻に含まれる化学物質の総称で、近年になって生体内でも自然に生産されることが判明しました。生体内で生産されるカンナビノイドを「内因性」カンナビノイドといいます。生体内での役割としては、主に神経系に作用して痛みを鎮めたり、興奮を抑えたりする働きをします。

③コレステロール由来の場合
代表的なコレステロール由来の生理活性脂質には、糖質コルチコイドや性ステロイド(エストロゲンやアンドロゲン)、アルドステロン、胆汁酸などが挙げられます。糖質コルチコイドは、タンパク質を糖に変換して血糖値を上昇させる働きをします。また、胆汁酸は消化管内で作用して、食物中の脂肪を吸収しやすくする働きをします。アルドステロンは、腎臓においてナトリウムの再吸収を促進させ、血圧を維持する働きをします。

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