水分の調整 すいぶんのちょうせい
体中の水分は体重の約60%あり、常にこの水分量を維持しています。
この水分量を調節しているのは、脳にあるホルモンや腎臓などの臓器です。
特に腎臓はとても大切な臓器です。
腎臓は人間の体に2つあり、1つが100g程の重さです。
人間の体は水分が減ってしまう事に対してデリケートなため、少しでも体の中の水分量が変わると、体調に変化が起きます。
例えば2%の水分が少なくなるだけで、喉が渇いたと感じるようになります。
10%の水分が少なくなると、血液のめぐりが悪くなり(循環不全)、最悪の場合死に至ることもあります。
水分量を決めるホルモンとして、脳下垂体にある「抗利尿ホルモン」が有名です。
「利尿」の言葉の意味は尿を出すということです。
その言葉に抵抗の「抗」がついているので、意味が反対になります。
つまり、抗利尿ホルモンは尿を出しにくくするホルモンだということです。
このホルモンは体の水分の状態によって分泌量が変わります。
水分を細かく調整するのはナトリウム、カリウム、カルシウムやマグネシウムなどの電解質と呼ばれる成分の濃度を一定に保つ必要があるからです。何故かというと電解質は濃度が適正な範囲から外れてしまうと命に係わる事態になりかねないからです。
例えば、私たちが多く水分を取っているときには、血液中の水分が増えます。
その分電解質の濃度が薄くなるため、元に戻さなくてはいけません。
濃度を戻すには、水分を多く排出しなければならないので、脳はその状態を察知し抗利尿ホルモンの分泌を減らすことで、たくさんの尿を出します。
逆に水分不足の状態だと、血液中の水分が減ります。
電解質の濃度が高くなるのを防ぐために、抗利尿ホルモンの分泌を増やします。
ホルモン量の調整で尿を出にくくすることで、これ以上の水分不足にならないように水分量を維持します。
この抗利尿ホルモンは腎臓に水分の調整の指示を出します。
腎臓は脳からの指令通り、水分の調節を行い尿の量を増減させます。
このように、体の水分の調整は様々な体の機能が働くことで維持できています。
補足
電解質について
私たちの血液の中にあるものは水分だけではなく、次のような電解質と呼ばれる成分が含まれています。
細胞外に多く存在するナトリウム、細胞内に存在するカリウムの他に、カルシウムやマグネシウムなどの成分も含まれています。
体の水分に対して、ナトリウムはこの量、カリウムはこの量といった具合に、血液中の電解質の濃度は範囲が決まっています。この決まった濃度の範囲に保つために、細胞外のナトリウムと細胞内のカリウムが行き来をしながら働いています。
というのも、腎臓は、このような生命維持のための電解質の調整も行っているのです。