非乳酸性エネルギー産生機構 ひにゅうさんせいえねるぎーさんせいきこう
非乳酸性エネルギー産生機構(ATP-CP 系機構)
非乳酸性エネルギー産生機構とは、いわゆる無酸素運動に属するエネルギー供給タイプです。この機構では、体の外側を構成して体を動かすための筋肉(これを「骨格筋」といいます)に存在する、「クレアチンリン酸(Creatine Phosphate, CP)」を分解して得られるエネルギーを用います。クレアチンリン酸は分解されると、クレアチンとリン酸を生じます。
筋肉が運動するための直接的なエネルギー源は「アデノシン三リン酸(Adenosine Triphosphate, ATP)」であり、ATPが分解されて「アデノシン二リン酸(Adenosine Diphosphate ,ADP)」とリン酸になる時に、エネルギーが放出されます。このエネルギーを用いて筋肉は運動することができます。しかし、ATPは筋肉の中にはわずかしか存在しないため、激しい運動をするとすぐに底を尽きてしまいます。ここで働くのがクレアチンリン酸です。クレアチンリン酸が速やかに分解してリン酸を生じることで、ADPと結びついてATPを再合成することができます。
このように、ATPとクレアチンリン酸(CP)を用いたエネルギー産生の一連の流れを「非乳酸エネルギー産生機構」と言います。
クレアチンリン酸もATPも、一度に筋肉に存在できる量が限られているため、このエネルギー産生機構はごく短い間しか持続しません。ただし、出力されるパワーは非常に大きくなります。100m走や砲丸投げといった、30秒程度の短い時間に大きなエネルギーを必要とする運動で用いられる機構です。