たんぱく質の場合 たんぱくしのばあい

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たんぱく質の場合

糖質や脂質と同様に、タンパク質についても呼吸商を求めることができます。タンパク質だけが燃焼したときの呼吸商はおよそ0.85です。タンパク質の炭素・水素・酸素の構成は糖質と脂質の中間にある大きさ(より糖質に近い)なので、呼吸商もその間の値になります。この値から分かるのは、「タンパク質は脂質よりも燃焼されやすい」ということです。これは、筋肉の量を維持して体脂肪率を下げようと試みるダイエッターには不都合な事実かもしれません。

タンパク質を消費するとに産生するエネルギーは5.3kcal/gで、これもまた、糖質と脂質のエネルギー産生量の間にある値です。注意したいのは、ここで挙げたタンパク質の呼吸商は、糖質や脂質と異なる特徴を持っています。それは、炭素・水素・酸素に加えて窒素を構成成分に含んでいるということです。タンパク質中の窒素は体内に吸収されると、「尿素」という物質に形を変えます。尿素は全て尿の中に取り込まれて、体外に排出されます。この特徴は、様々な栄養素の行き先を特定する手がかりになります。
例えば、尿中に含まれている窒素の量が判明すれば、エネルギーとして燃焼したタンパク質の量を算出することができます。ここから、実際に燃焼したタンパク質による呼吸商を求めることができます。一定時間、酸素の消費量と二酸化炭素の排出量を計測して、燃焼したタンパク質による呼吸商の値とともにを用いると、糖質と脂質の合わさった呼吸商を求めることができます。

糖質と脂質については、呼吸商がはっきりしているので、ここから体内で燃焼した炭水化物の量と脂質の量をそれぞれ計算することができます。これまで見てきたように、栄養素はそれぞれ異なる呼吸商の値を持ちますが、食事をして実際に体内に栄養素を取り入れるときに、それぞれの栄養素を単一に摂取することは現実的ではありません。日本人の食事の栄養素の摂取比率は、糖質が60%、脂質が30%、タンパク質が10%となっています。したがって食事全体でみた呼吸商はおよそ0.8となります。
呼吸商は、安静にしている状態でも、激しく運動している時でも、ほぼ一定の値をとります。また、年齢による差もあまりありません。

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