理論値 りろんち

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1)理論値 

栄養素の生理的エネルギー値とは、食事から摂取した栄養素が体内で利用できるエネルギーとしてどれだけの「パワー」を持っているのかを示した値です。食べ物に含まれる栄養素の中でも、主にエネルギーとして働くのは、タンパク質・脂質・炭水化物の3つです。これら3つの栄養素を体内で「燃焼」させることによって、生命維持に必要なエネルギーを確保します。

日本では、エネルギーの単位として、kcal/g(またはcal/g)を使うことが多いです。食事に含まれる栄養素を完全に燃焼させる時に得ることができるエネルギーの量は、実験的に求めることができます。栄養素の生理的エネルギーを求める実験では、一般的に、ボンブカロリーメーター(ボンベ熱量計)という装置を用います。内部の圧力を自由に変えることのできる容器の中に、エネルギーを求めたい栄養素を入れ、高圧の酸素を用いて完全に燃焼させます。この時に発生した熱で装置内の水を温め、「水温がどれだけ上昇したのか」でエネルギーの量を測定します。

「燃焼」と聞くと、キャンプファイヤーのように炎が燃え盛るようなイメージが浮かぶかもしれませんが、化学的には「酸素と結びつくこと」と置き換えて考えると良いでしょう。
このような実験で測定された3つの栄養素それぞれのエネルギーは、タンパク質が5.7kcal/g、脂質が9.4kcal/g、炭水化物が4.1kcal/gとなっています。しかし、この値は実験室で求めた理論的な値であって、現実的な値ではありません。なぜなら私たちの体は、摂取した栄養素を全て完全に燃焼できるわけではないからです。つまり、食事から得たエネルギー量よりも、実際に確保できるエネルギーは実験で求めた理論値よりも少なくなるのです。実際の数値が理論値よりもどの程度少ないかは、食品ごとに、その中に含まれている栄養素の吸収率などを求めて初めて分かる。

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