モリブデン もりぶでん

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

モリブデンとはどのような物質?

モリブデンは聞きなじみがない方も多いかもしれませんが、代謝に関わる必須ミネラルのひとつで、主に肝臓や腎臓に存在しています。

私たち人間の体内には約9mgあり、他の動物に体内にも存在しています。

モリブデンは、もともと輝水鉛鉱と呼ばれる鉱石から発見された銀白色の金属です。モリブデンの特徴は硫黄と結合しやすいという点で、輝水鉛鉱もモリブデンと硫黄からできています。モリブデンは産業上貴重な金属であり、航空機やロケットのエンジンに使われています。また、私たちの身の回りでもステンレス鋼やステンレス製の包丁に使われています。

モリブデンの効果・効能は?

ここでは、モリブデンの効果・効能について紹介していきます。主要なモリブデンの効果・効能は以下の2点です。 

貧血を予防する効果

モリブデンには、鉄が不足した時に肝臓に蓄えられている鉄の運搬を助け、造血を促す働きを持っています。そのため、鉄が不足して起こる鉄欠乏性貧血を予防する効果があります。また、モリブデンは銅の排泄を促す働きも持っています。銅が不足すると鉄の吸収や利用効率が下がってしまうため、モリブデン、銅、鉄をバランスよく摂取する事が求められます。

モリブデンは、銅の排泄や鉄の代謝に大きく関わっています。 

食道がんを予防する効果

ある研究によると、モリブデンが不足していると食道がんの発症率が高いという報告がなされています。土壌中のモリブデン濃度が低い中国の地域では食道がん率が高いという研究結果や、飲料用水中のモリブデン量が少ない地域では食道がんによる死亡率が高いという研究結果が出ています。

まだ、モリブデンと食道がんの関係性について証明されているわけではありませんが、モリブデンと食道がんになんらかの関係がある可能性は高いといえます。

モリブデンの1日の推奨摂取量は?

モリブデンの1日の推奨摂取量は、男性の場合が、18歳から29歳男性で25㎍、30歳から49歳男性で30㎍、50歳以上男性で20㎍となっています。女性の場合は、18歳から29歳女性で20㎍、30歳から69歳女性で25㎍、70歳以上女性で20㎍となっています。また、耐用上限量は18歳以上の男性が550㎍、18歳女性で450㎍となっています。

モリブデンを豊富に含んでいる食材は、だいずやえんどう、そらまめなどの豆類が上記に来ています。モリブデンは大豆製品から効率よく摂取できます。

モリブデンの欠乏症や中毒について

モリブデンの欠乏症や中毒に関してはごくわずかではありますが前例があるためここで紹介します。 

モリブデンの欠乏症について

モリブデンの欠乏症が見られたのは1967年に1例だけありました。それは、小児の遺伝性の亜硫酸オキシターゼ欠乏症です。これは、モリブデンが十分に存在していたにもかかわらず、モリブデン補酵素を生成できない事から生じました。

この時発生した症状としては、知的障害、けいれん発作、後弓反張などがありました。この症状が長期化すると、頭痛や嘔吐、吐き気、昏睡といった症状に発展しました。 

モリブデン中毒について

モリブデンを摂取しすぎたことによるモリブデン中毒に関しても前例は1つのみです。1961年に起こったモリブデン中毒とみられる症状では、痛風様症状ならびに消化器、肝臓、腎臓に異常が生じました。 

前例の少なさからもわかるように、基本的にモリブデン欠乏症やモリブデン中毒になる事はないといってもいいでしょう。日常的な食生活を送っていれば、モリブデンに関しては心配する事はないです。

関連するカテゴリ

関連する記事はこちら